高等教育機関の医療従事者を対象とした全国的な包括的かつ一律の B 型肝炎ワクチン接種方針の必要性:南アフリカ共和国での事例研究
Need for a comprehensive, consistently applied national hepatitis B vaccination policy for healthcare workers in higher educational institutions: a case study from South Africa
L. Fernandes*, R.J. Burnett, G. François, M.J. Mphahlele, M. Van Sprundel, A. De Schryver
*University of Limpopo, South Africa
Journal of Hospital Infection (2013) 83, 226-231
背景
B 型肝炎ウイルス(HBV)は感染者の血液やその他の体液を介して伝播するため、医療従事者および医療関連学生は職業曝露による HBV 感染のリスクが高い。
目的
南アフリカ共和国の高等教育機関で教育を受けている医療関連学生を対象とする B 型肝炎ワクチン接種方針の有無、内容、および実施状況を明らかにすること。
方法
医師、看護師、および歯科医師の養成を行っている南アフリカ共和国の看護学校 23 校および大学 11 校に、自記式の構造化質問票を送付した。
結果
12 校(35%)が質問票を返送した。このうち B 型肝炎ワクチン接種方針を有する高等教育機関は 10 校であり、その多くは学生の入学時の接種を推奨していた。9 校は学校内で B 型肝炎ワクチン接種を提供しており、このうち 4 校は接種費用を学費から充当していた。7 校ではワクチン接種証明書の提出が必須ではなかった。6 校はワクチン不応者の入学を認めておらず、2 校は不応者が 2 度目の 3 回連続ワクチン接種と再検査を受けることを条件に入学を認め、2 校は不応者が HBV 曝露リスクに関するカウンセリングを受けることを条件に入学を認めていた(日本語版監訳者注:原著抄録では、不応者の入学要件について「3 校は不応者が 2 度目の 3 回連続ワクチン接種とカウンセリングを受けた場合のみ、入学を認めていた」と記載されているが、論文テキスト中の記載に基づいて翻訳文を修正した)。6 校は HBV キャリアは感染性を有していると見なしており、10 校は HBV キャリアの入学を認めていた。回答率が低かったため結果を一般化することは困難であるが、未回答の高等教育機関では医療関連学生を対象とした B 型肝炎ワクチン接種方針が存在していないために、回答率が低かった可能性がある。
結論
質問票に回答した高等教育機関における B 型肝炎ワクチン接種、HBV 保有、およびワクチン応答に関する方針にはばらつきがみられ、医療関連学生を HBV 職業感染から保護するためには不適切であったり、包括性が十分ではない場合があった。このことから、医療関連学生を HBV 感染から適切に保護するには、全国的な包括的かつ一律の予防接種方針が必要であることが強調される。
サマリー原文(英語)はこちら
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