感染性心内膜炎患者に対する長期抗菌薬投与のための血管アクセス戦略:デバイスの種類および感染と死亡のリスク

2013.01.30

Vascular access strategy for delivering long-term antimicrobials to patients with infective endocarditis: device type, risk of infection and mortality


F.Z. Ahmed*, W.W. Baig, T. Munyombwe, R. West, J.A.T. Sandoe
*Leeds Teaching Hospitals NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 83, 46-50
背景
本稿では、感染性心内膜炎に対する抗菌薬静脈内投与を受ける患者における種々の血管アクセスデバイスの使用、および血管内カテーテル関連感染(CRI)の発生率について報告する。
目的
血管アクセスデバイスの種類によって感染率が異なるかどうかを評価すること、および感染性心内膜炎患者の死亡率に対する CRI の影響を調べること。
方法
感染性心内膜炎に対して抗菌薬静脈内投与を受ける全入院患者を対象として、前向き観察評価を行った。合計 114 例の入院患者を評価した。すべての CRI 症例(出口部感染、血管内カテーテル関連血流感染[CRBSI]、および死亡を含む)を記録した。抗菌薬投与にはトンネル型中心静脈カテーテル(CVC)、非トンネル型 CVC、および末梢挿入型カニューレを使用した。
結果
15 件の CRI エピソードが発生し、このうち 11 件は CRBSI であった(すべて CVC 使用に関連していた)。これら以外は単純性出口部感染であった。トンネル型 CVC の使用(ハザード比[HR] 16.95、95%信頼区間[CI] 2.13 ~ 134.93、P = 0.007)および非トンネル型 CVC の使用(HR 24.54、95%CI 2.83 ~ 212.55、P = 0.004)が、CRI リスクの有意な上昇と関連していた。死亡リスクは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が感染性心内膜炎(P < 0.001)および CRBSI(P = 0.034)の原因である場合に有意に上昇した。
結論
感染性心内膜炎患者の CRI リスクは、使用する血管アクセスデバイスの種類と関連していた。CRBSI の発生率は CVC では極めて高かったが、末梢静脈カニューレは CRBSI や重篤な転帰とは関連しなかった。末梢カニューレを介する投与では、多くの患者(40%)が全治療コースを忍容した。これらの結果は、CRI リスクの低下に対するデバイス選択の重要性を確証するものであり、これは、感染性心内膜炎の転帰と死亡に影響する修正可能な因子である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者注:
単純性出口部感染(uncomplicated exit-site infection):本稿での定義は、カテーテル出口部に 1 cm を超える紅斑および/または膿性滲出を認めるが血液培養陽性ではないカテーテル関連感染症。

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