第 2 回スコットランド全国有病率調査の結果:スコットランドにおける医療関連感染の疫学の変化
Results from the second Scottish national prevalence survey: the changing epidemiology of healthcare-associated infection in Scotland
J. Reilly*, S. Cairns, S. Fleming, D. Hewitt, R. Lawder, C. Robertson, W. Malcolm, D. Nathwani, C. Williams
*Health Protection Scotland, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 82, 170-174
背景
医療関連感染(HAI)は、世界的な公衆衛生上の問題であると考えられている。点有病率調査により、あらゆる種類の HAI の負荷の評価が可能である。
目的
HAI 有病率を評価し、第 1 回スコットランド全国点有病率調査後の HAI の疫学の変化を明らかにすること。
方法
欧州の点有病率調査のために作成された欧州疾病予防管理センター(European Centre or Disease Prevention and Control)のプロトコールを用いて、2011 年 9 月から 10 月に国民保健サービス(NHS)の急性期、非急性期、小児の各病院、および独立病院を対象とした全国点有病率調査を再度実施した。HAI 有病率および HAI の種類の分布を評価し、結果を 2005/2006 年の第 1 回スコットランド全国 HAI 点有病率調査と比較した。
結果
HAI 有病率は急性期病院 4.9%、非急性期病院 2.5%、小児病院 6.1%、独立病院 1.2%であった。急性期病院の HAI 有病率は、非急性期病院と比較して有意に高かった。その他の種類の病院間では有病率に有意な差はなかった。急性期病院および非急性期病院の HAI 有病率は、第 1 回の調査の約 3 分の 1 以下であった。前回の調査と比較して、急性期病院では尿路感染、手術部位感染、血流感染の割合が増加し、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染を含む消化器の HAI の割合が低下した。
結論
2005/2006 年の第 1 回の全国調査以降、スコットランドにおける HAI の疫学が変化しているため、感染予防・制御策ではその点に再度注目する必要がある。有病率が低下し、急性期・非急性期ケアにおける HAI の疫学に変化がみられたことは、この間に、標的を定めた HAI 介入の全国的プログラムが実施されたことと時間的な関連がある可能性を示唆している。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
英国では 2005 ~ 2006 年ごろから、積極的な感染対策の取り組みが進められている。こうした影響がこの疫学統計にも出ている。
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