重症度に基づくクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の治療方針の実施前後の治療パターンおよび患者の転帰の評価

2013.09.30

Assessment of treatment patterns and patient outcomes before vs after implementation of a severity-based Clostridium difficile infection treatment policy


C.G.M. Jardin*, H.R. Palmer, D.N. Shah, F. Le, N.D. Beyda, Z. Jiang, K.W. Garey
*St. Luke’s Episcopal Hospital, TX, USA
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 28-32
背景
米国のガイドラインでは、重度のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)に対する治療として、臨床転帰の改善が示された最近のいくつかの臨床試験の結果に基づいてバンコマイシンの経口投与を推奨している。しかし、これらの臨床試験を裏づける実臨床データはわずかである。
目的
3 次教育病院で、CDI の治療を受けた患者の治療パターンと転帰を、重症度に基づく治療方針の実施前後で比較すること。
方法
本試験では、重度の CDI に対するメトロニダゾール投与を、禁忌がない場合にはバンコマイシン経口投与に切り替えるという治療方針の実施前後に、C. difficile 毒素陽性の成人患者の評価を行った。公表されている重症度スコアに修正を加えたものを使用して、患者を疾患の重症度ごとに層別化した。CDI の重症度に基づく治療パターンおよび治療抵抗性 CDI の割合を評価した。
結果
CDI 患者合計 256 例(年齢平均値 66 歳、標準偏差 17、女性 52%)を評価した(実施前 144 例、実施後 112 例)。重度の CDI に対する経口バンコマイシンの使用は 14%(8 例)から、治療方針の実施後は 91%(48 例)に有意に増加した(P < 0.0001)。重度の CDI 患者における治療抵抗性疾患は 37%から、治療方針の実施後は 15%に有意に減少した(P = 0.035)。軽度から中等度の CDI 患者では、有意な相違は認められなかった。
結論
3 次教育病院における CDI の重症度に基づく治療方針によって経口バンコマイシンの使用が増加し、それに伴って治療抵抗性 CDI の割合が低下した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
経口バンコマイシンの使用の増加に伴い、バンコマイシン耐性腸球菌やバンコマイシン耐性 MRSA の出現に関する検証も必要だろう。

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