2008 年のフランスの入院患者における骨・関節感染症:臨床転帰および経済的影響★★
Bone and joint infections in hospitalized patients in France, 2008: clinical and economic outcomes
L. Grammatico-Guillon*, S. Baron, S. Gettner, A.-I. Lecuyer, C. Gaborit, P. Rosset, E. Rusch, L. Bernard
*University Hospital of Tours, France
Journal of Hospital Infection (2012) 82, 40-48
背景
成人の骨・関節感染症は、頻回または長期の入院が必要となることが多く、公衆衛生上の重大な問題と考えられている。
目的
フランスにおける骨・関節感染症の疫学および経済的影響について述べること。
方法
特定の人口統計学的、医学的、および経済的特性を有する骨・関節感染症入院症例を、2008年のフランスの全国病院データベースから特定した。全般的な患者特性と骨・関節感染症による入院に関する単変量解析を行った。デバイス関連感染症のリスク因子を多重ロジスティック回帰モデルを用いて特定した。
結果
フランスにおける全入院件数の 0.2%が骨・関節感染症関連であり、発生率は人口 100,000 人あたり 54.6 件に相当し、発生数は男性が多かった(性比 1.54)。非デバイス関連の骨・関節感染症(68%)のほうがデバイス関連(32%)よりも多かった。平均年齢は 63.1 歳であった。退院時に微生物学的情報がコード化されていたのは 39%のみであり、その 66%ではブドウ球菌属菌(Staphylococcus spp.)が分離されていた。肥満、ブドウ球菌属菌、男性、および年齢 > 64 歳が、デバイス関連感染症の重要なリスク因子であったが、糖尿病および潰瘍痛が非デバイス関連感染症と有意に関連していた。症例の死亡率は 4.6%であった。6%が集中治療室での治療が必要となった。19%が再入院し、入院期間はデバイス関連の骨・関節感染症のほうが非デバイス関連よりも有意に長かった(18.9 日対 16.8 日)。2008 年の骨・関節感染症の費用は 25,900 万ユーロ、すなわち 1 入院あたり 7,000 ユーロであった。
結論
本研究は骨・関節感染症に関するこれまでの最大規模のものである。骨・関節感染症による甚大な経済的負担は、主として頻回かつ長期の入院、高い発生率、および複雑な治療によるものであった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
骨・関節関係の処置によるデバイス関連感染症の経済的損失をあからさまに算出したものである。こうしたデータは国民的損益として考えることにより、医療関連感染減少への取り組みの一歩となる。
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