高温多湿条件:シンガポールにおけるバチルス・セレウス(Bacillus cereus)アウトブレイクと建設工事および洗濯プロセスとの関連

2012.08.31

Hot and steamy: outbreak of Bacillus cereus in Singapore associated with construction work and laundry practices


M.N.D. Balm*, R. Jureen, C. Teo, A.E.J. Yeoh, R.T.P. Lin, S.J. Dancer, D.A. Fisher
*National University Health System, Singapore
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 224-230
背景
シンガポールの National University Hospital でバチルス・セレウス菌群(Bacillus cereus group)による侵襲性感染症が突如増加したことを受けて、調査を実施した。
目的
アウトブレイクの調査と管理について述べるとともに、その後の管理の維持に関する問題点を報告すること。
方法
臨床サンプルから B. cereus group が回収された全患者を対象として、症例調査を実施した。広範囲の環境サンプルを採取し、病院の換気設備、院内清掃、および洗濯プロセスの精査を行った。
結果
病院に隣接して大規模な建設工事が行われていた 6 か月間に、171 例の患者から B. cereus group が回収された。大部分の患者が菌血症であり(171 例中 146 例、85.4%)、171 例中 46 例(26.9%)はバンコマイシンやその他の介入による長期治療が必要であった。サンプル採取の結果、隔離室や空調設備のある病棟を含めて、病院内の空気中に広範囲に拡散していることが確認された。病院のリネン類は高度に汚染されており(7,403 cfu/cm2、95%信頼区間[CI]6,349 ~ 8,457、サンプル採取したタオル 30 枚のデータ)、不適切な密封性ビニール袋で保管した場合(4,437 cfu/cm2、95%CI 3,125 ~ 5,750)は、通気性のある布袋で保管した場合(166 cfu/cm2、95%CI 76 ~ 256)と比較して汚染が高度であった(P < 0.001)。病院のリネン類やタオルの洗濯プロセス、移動、および保管の改善、漂白剤を使用した環境清掃、および病院全体の換気設備の改善などの介入を実施した。症例数は 3 か月以内でベースラインレベルに回復したが、洗濯プロセスを緩和したところ、再度増加した。
結論
シンガポールの当病院に隣接して行われた建設工事に伴い、本稿に述べたアウトブレイクの原因菌と推定される Bacillus 属菌による空気および環境の高度の汚染が引き起こされた。洗濯プロセス改善の継続が不十分となったことにより、症例数が、特に免疫不全患者において再度増加した。
サマリー原文(英語)はこちら

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