病院と地域の間の回転ドア:ダブリンにおける基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌(Escherichia coli)
The revolving door between hospital and community: extended-spectrum beta-lactamase-producing Escherichia coli in Dublin
L. Burke*, H. Humphreys, D. Fitzgerald-Hughes
*Beaumont Hospital, Ireland
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 192-198
背景
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌(Escherichia coli)は増加が認められる医療関連感染の原因菌であり、地域の医療施設はその重要な流行型クローンのリザーバである可能性がある。
目的
2009 年から 2010 年までダブリンの病院 1 施設で採取された ESBL 産生大腸菌について後向きの特性評価と調査を行うこと、および病院と地域の医療施設における特定のクローンの蔓延について調査すること。
方法
パルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE)を用いて、ESBL 産生大腸菌の 100 株の分離菌株の遺伝的関連を明らかにした。採取した分離株を系統発生グループに分類するとともに、O25b-ST131 クローンの同定を行った。特定のクローンの疫学調査を行うため、遺伝的データと抗菌薬感受性および臨床的・人口統計学的データとの関連を調べた。
結果
系統発生グループ B2(62%)および D(18%)が最も多くみられ、これらと、尿以外に由来する分離株との関連が認められた(Fisher の直接確率検定 P < 0.0001)。PFGE により 12 のクラスター(相同性が 80%以上)が特定され、最大のクラスターは流行型 UK strain A に分類された。地域の長期ケア施設の入居者が保菌していたのは、O25b-ST131 クローン、系統発生グループ B2 または D のみであった。
結論
ダブリンの長期ケア施設における ESBL 産生大腸菌の大部分は O25b-ST131 クローンであった。当院および当地域における ESBL 産生大腸菌の分布は、これらの耐性菌が伝播・拡散する際に通過する「回転ドア」が存在することを示している。
サマリー原文(英語)はこちら
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