カンジダ(Candida)属菌および大腸菌(Escherichia coli)バイオフィルムの殺生物剤耐性は高い抗酸化能と関連する

2012.06.30

Biocide resistance of Candida and Escherichia coli biofilms is associated with higher antioxidative capacities


C.Y. Leung*, Y.C. Chan, L.P. Samaranayake, C.J. Seneviratne
*University of Hong Kong, Hong Kong
Journal of Hospital Infection (2012) 81, 79-86
背景
殺生物剤の使用に関する臨床ガイドラインのほとんどは、浮遊微生物を対象として作成されているが、自然界では大半の微生物は表面に付着した集団またはバイオフィルムの形で生存している。
目的
大腸菌(Escherichia coli)およびカンジダ(Candida)属菌に対して一般的に用いられている殺生物剤の有効性を、浮遊、接着、バイオフィルムの 3 種類の増殖期ごとに評価すること。
方法
殺生物剤に 5 分間曝露後、超微形態、構造、および菌の生存率のそれぞれの変化を、走査型電子顕微鏡および蛍光色素を用いた共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察した。浮遊期とバイオフィルム期における抗酸化物質である SOD1 および CAT1 転写物の相対的発現量を、定量的リアルタイム PCR 法により評価した
結果
浮遊期の大腸菌および Candida 属菌は、推奨濃度で検査したすべての殺生物剤に感受性であった。しかし、初期である接着期、後期であるバイオフィルム期ともに殺生物剤に対する感受性が低下し、最小発育阻止濃度が推奨濃度を超える例がみられた。接着した微生物細胞を短時間の殺生物剤曝露で完全に除去することはできず、殺生物剤の作用から回復し、殺生物剤で処理した表面にバイオフィルムを形成した。バイオフィルム期には SOD1 および CAT1 の発現量が高かった。
結論
病院環境での臨床消毒のための殺生物剤の推奨濃度では、接着期およびバイオフィルム期の大腸菌と Candida 属菌の完全な除去はできないと考えられる。微生物バイオフィルムの抗酸化能が高いことが、バイオフィルムの臨床用殺生物剤に対する耐性に関与している可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
この論文で使用された殺生物剤“biocide”は、4 種類の消毒薬、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、エタノール、ヨード液であり、臨床で使用される濃度で行われた実験である。統一した評価方法で、通常の濃度では浮遊の状態の真菌・細菌には有効であるものの、バイオフィルムが形成されると消毒薬の効果が発揮されにくくなることを示した。いったんバイオフィルムが形成されるとその内部に消毒薬が侵入しにくくなるため、バイオフィルムを作らない環境を保つこと、特に内視鏡などの有機物の付着が想定される場合は、その処理を十分に行うことが必要である。

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