血液悪性腫瘍の小児患児に対するカテーテルロック溶液としてのタウロリジン・クエン酸塩とヘパリンの無作為化対照試験
Randomized controlled trial of taurolidine citrate versus heparin as catheter lock solution in paediatric patients with haematological malignancies
M.J. Dümichen*, K. Seeger, H.N. Lode, J.S. Kühl, W. Ebell, P. Degenhardt, M. Singer, C. Geffers, U. Querfeld
*Charité University Medicine Berlin, Germany
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 304-309
背景
1.35%タウロリジンと 4%クエン酸塩を含むカテーテルロック溶液は、タウロリジンの細菌付着防止作用および両化合物の抗凝固作用とキレート作用により、表面への細菌の付着およびその後のバイオフィルム形成を阻害する可能性がある。
目的
血液悪性腫瘍の小児患児を対象として、中心静脈カテーテル(CVC)ロック溶液としてのヘパリンおよびタウロリジン・クエン酸塩が、カテーテルへの微生物の定着および感染性合併症に及ぼす影響を比較すること。
方法
1.4 ~ 18 歳の患児 71 例を、ヘパリン(36 例)またはタウロリジン・クエン酸塩(35 例)のいずれかを使用する 2 群に無作為化した。感染性合併症と臨床的副作用を前向きにモニタリングし、カテーテル抜去時にカテーテルへの微生物の定着を評価した。
結果
血流感染症の件数は、タウロリジン・クエン酸塩群 2 件、ヘパリン群 9 件であった(1,000 カテーテル日あたり 0.3 件対 1.3 件、P = 0.03)。原因不明の発熱とカテーテル閉塞の観察頻度は、両群で同等であった。25.4%のカテーテルに微生物の定着が認められた。ロック溶液を使用せずにカテーテルを留置した時間は、カテーテルへの微生物定着の有意な予測因子であったが(P = 0.004)、ロック溶液の種類や観察期間は有意な予測因子ではなかった。留置直後にタウロリジン・クエン酸塩によるロックを行った CVC には微生物の定着が観察されなかった。タウロリジン・クエン酸塩群の患者 7 例(20%)に副作用(悪心、嘔吐、味覚異常)が発現した。
結論
タウロリジン・クエン酸塩含有ロック溶液を使用することにより、免疫不全状態の小児患児の血流感染症が有意に減少した。カテーテル挿入時からタウロリジン・クエン酸塩を使用すれば CVC への微生物の定着を防止できると考えられるが、ロック溶液を用いずにしばらくカテーテルを使用した後では防止はできないようである。
サマリー原文(英語)はこちら
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