イングランドにおける変遷するクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染獲得の評価のための管理データの評価

2012.03.31

Assessment of administrative data for evaluating the shifting acquisition of Clostridium difficile infection in England


M-H. Jen*, S. Saxena, A. Bottle, R. Pollok, A. Holmes, P. Aylin
*Imperial College, London, UK
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 229-237
背景
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染の獲得や、それが病院感染か市中感染であるかについては、ほとんど明らかになっていない。
目的
イングランドにおける C. difficile 感染動向の調査のために Hospital Episode Statistics の全国病院入院データが使用可能であるか、またその有用性について検討すること。
方法
1997/98 年から 2009/10 年までの Hospital Episode Statistics を使用した。2 つの異なる病院機能評価指標(総入院数、総病床使用日数)を用いて経時的動向を分析した。社会人口学的因子、併存疾患、および受診履歴が、C. difficile 感染リスクに及ぼす影響を調査した。
結果
入院あたり、および病床使用日数あたりの C. difficile 感染率は 1997/98 年から 2006/07 年にかけて上昇し、その後 2008/09 年および 2009/10 年には最大 50%を超えて大幅に低下した。この変動パターンは、想定される感染源にかかわらずに認められたが、C. difficile 市中感染が想定される患者の割合は 7%(1997/98 年)から 13%(2009/10年)に徐々に上昇した。C. difficile 感染率は、高齢患者(年齢 > 65 歳のオッズ比 10.9)、併存疾患が多い患者(Charlson index > 5 のオッズ比 5.6)、および待機的入院患者と比較した救急患者で高かったが、貧困スコアとの関連はみられなかった。
結論
今回の知見は、英国健康保護局の全国的な義務的サーベイランスから C. difficile 感染の減少傾向が確認されたことを示すとともに、過去 90 日間に病院曝露がない患者の入院時の C. difficile 感染率が上昇していることを示している。これらは C. difficile の市中感染症例である可能性が考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら

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*Mater Misericordiae University Hospital, Ireland

Journal of Hospital Infection (2022) 125, 44-47



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