医療従事者に対する季節性インフルエンザワクチンの有効性:システマティックレビュー
Effectiveness of seasonal influenza vaccination in healthcare workers: a systematic review
A.N.M. Ng*, C.K.Y. Lai
*Centre for Health Protection, Department of Health, Hong Kong SAR, China
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 279-286
ワクチン接種は、インフルエンザ易感染性グループに対する主要な防御策の 1 つと考えられている。本総説の目的は、検査により確認されたインフルエンザ感染、インフルエンザ様疾患、およびワクチン接種を受けた医療従事者の労働損失日数の減少に対するインフルエンザワクチン接種の効果を評価するとともに、ワクチン接種後の副反応について明らかにすることである。22 の医療関連データベースとインターネットリソースの検索を実施し、得られた全文献のリストのスクリーニングを行った。あらゆる医療従事者集団を対象として、何らかのインフルエンザワクチンの効果を、ワクチンと無介入との比較ではなくプラセボとワクチンとで比較しているすべての無作為化対照試験を本総説の対象とした。3件の試験のみが組み入れ基準に合致した。医療従事者に対するインフルエンザワクチン接種により、検査により確認されたインフルエンザ感染が減少することを示唆するエビデンスは限られている。インフルエンザワクチン接種を受けた医療従事者のインフルエンザ感染発生、インフルエンザ様疾患エピソード数、インフルエンザ様疾患症状発現日数、または病気休暇取得日数が有意に減少することを示したエビデンスはない。ワクチン接種後の副反応を評価するためのデータは不十分なものしか存在しない。医療従事者に対するインフルエンザワクチン接種の効果についての確定的な結論は、関連する試験件数が限られているため得られていない。毎年のワクチン接種がインフルエンザ感染から医療従事者を防御するための主要な防御策の 1 つであるのかを評価し、医療従事者のワクチンに対する信頼を向上させるためには、さらなる研究が必要である。現時点で可能であるのは、医療従事者へのインフルエンザワクチン推進の方向性を、懸念と誤解を払拭するための正確な情報を用いることによって、職員の防御から患者の防御へとシフトさせることである。
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