セネガルの新生児室における院内血流感染症の減少に対する感染制御プログラムの有効性

2011.10.30

Efficacy of an infection control programme in reducing nosocomial bloodstream infections in a Senegalese neonatal unit


C. Landre-Peigne*, A.S. Ka, V. Peigne, J. Bougere, M.N. Seye, P. Imbert
*Service de Pédiatrie, CH Versailles, Le Chesnay, France
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 161-165
新生児院内感染症は発展途上国における公衆衛生上の脅威であり、介入成功の報告は少ない。セネガルの Hôpital Principal de Dakar の新生児室に 2005 年 3 月から 5 月に導入された多角的な病院感染制御プログラムの有効性を評価するため、前後比較試験を実施した。介入として集中的看護、早発型敗血症が疑われる患児の経験的治療のための簡易アルゴリズムの導入、侵襲的処置の軽減、および新生児の早期退院の促進などを実施した。感染制御プログラム導入の前後に、院内血流感染症、死亡率、細菌の薬剤耐性、および抗菌薬使用についてのデータを収集した。本プログラム導入の直前(第 1 期、2005 年 1 月 ~ 2 月)に乳児 125 例が入院し、直後(第 2 期、6 月 ~ 7 月)に 148 例が入院した。これらの 2 群の乳児の入院理由および出生時体重は同等であった。感染制御プログラム導入後は、院内血流感染症の総発生率は 8.8%から 2.0%(P = 0.01)に低下し、1,000 患者日あたりの院内血流感染症発生率は 10.9 件から 2.9 件に減少した(P = 0.03)。総死亡率に有意差はなかった。早発型敗血症が疑われ抗菌薬治療を受けた新生児の割合は、リスク乳児の 100%から 51%に有意に減少した(P < 0.001)。薬剤耐性菌発現率は本プログラム導入後に有意に低下し(79%対 12%、P < 0.001)、1 年後も低値が持続していた。この新生児室では、簡易で低コストの継続可能な介入により、高頻度で発症する院内細菌血流感染症が制御され、その介入効果は長期間持続した。このような介入は、他の低所得国にも適用することが可能である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

監訳者注:
集中的看護(clustering of nursing care):本論文では、各看護師らが特定の業務を専業的に分担するのではなく、割り当てられた患児の看護をすべて担当することを指している。

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