人工股関節感染症および人工膝関節感染症のリスク因子の相違★

2011.10.30

Risk factors for prosthetic hip and knee infections according to arthroplasty site


T.N. Peel*, M.M. Dowsey, J.R. Daffy, P.A. Stanley, P.F.M. Choong, K.L. Buising
*St Vincent’s Hospital, Australia
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 129-133
人工関節感染症は関節形成術の深刻な合併症である。関節形成術による感染症に関連する因子はこれまでの疫学研究でも評価されているが、人工関節感染症に対する併存疾患の影響について、関節形成術の部位別の評価は実施されていない。症例対照研究デザインを用いて、解剖学的部位別の人工関節感染症のリスク因子を調査した。1 病院を対象とした 8 年の研究期間中に、63 例の患者に人工関節感染症(股関節 36 例、膝関節 27 例)が発症した。人工股関節感染症または人工膝関節感染症の症例を、対照に対して 1:2 の割合でマッチさせた。結果から、関節形成術感染症に関連する因子は解剖学的部位によって異なることが示唆された。膝関節形成術後は、創部滲出液と人工関節感染症のリスク増加との関連が認められたが、ドレーンチューブ留置はリスク低下と関連した。一方、人工股関節感染症は、体格指数(BMI)高値、ドレーンチューブからの排出量増加、および表層切開創の手術部位感染(SSI)との関連が認められた。コホートを統合した解析では、全身性ステロイド薬の使用、ドレーンチューブからの排出量増加、創部滲出液、および表層切開創の SSI が人工関節感染症の予測因子であった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

術後感染症のリスク因子を明らかにする研究は、感染対策にかけることができる人的物的資源が限られる中で、特に感染症防止対策を強化すべき患者を同定することができる点で非常に有意義である。本研究は、人工関節形成術のリスク因子を膝と股にわけ、その相違を明らかにしており、大変興味深い。

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