台湾北部の 3 次医療施設における 2000 年から 2008 年のカンジダ血症発生率の変動★

2011.05.01

Changes in the incidence of candidaemia during 2000-2008 in a tertiary medical centre in northern Taiwan


L.-Y. Chen*, S.-Y. Liao, S.-C. Kuo, S.-J. Chen, Y.-Y. Chen, F.-D. Wang, S.-P. Yang, C.-P. Fung
*Taipei Veterans General Hospital, Taiwan
Journal of Hospital Infection (2011) 78, 50-53
カンジダ血症は高い死亡率と高額の医療費に関連している。台湾におけるカンジダ血症の発生率は1980 年から 2000 年の期間に著しく増加した。2000 年から 2008 年のカンジダ血症発生率の長期的傾向を調査するため、病院を対象としたサーベイランスを実施した。この研究では、カンジダ(Candida)属菌は血流感染症の原因として 4 番目に頻度が高く、30 日粗死亡率は 36.7%であった。最も多く同定された菌種はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)であったが、菌種による死亡率については有意差が認められなかった。カンジダ血症発生率は 2004 年から減少が始まった。高い死亡率と関連するリスク因子は、カンジダ血症を発症する前の長期入院、肝硬変、悪性腫瘍、腎透析を要する末期腎疾患、人工呼吸器、および尿路カテーテルなどであった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
カンジダ属(Candida spp.)は最も代表的な酵母真菌であり、医療関連感染症、特に中心静脈カテーテル関連血流感染症の起因菌として最も多く分離される。臨床的に最も高頻度に分離されるのはカンジダ・アルビカンス(C. albicans)であり、その病原性も最も強いとされる。次いでカンジダ・トロピカーリス(C. tropicalis)、カンジダ・グラブラータ(C. glabrata)、カンジダ・パラシローシス(C. parapsilosis)、さらにはカンジダ・クルーゼイ(C. krusei)、カンジダ・ルシタニエ(C. lusitaniae)、カンジダ・ケフィール(C. kefyr)、カンジダ・ギリエルモンディ(C. guilliermondii)などがある。特にC. parapsilosis は経静脈栄養管理(total parenteral nutrition;TPN)、いわゆる高カロリー輸液管理との強い関連が認められる。なお、フルコナゾールが予防的投与された場合、フルコナゾール耐性である C. glabrataC. krusei などによる感染症のリスクが増加すると考えられる。中心静脈カテーテル管理などの侵襲的な医療処置が増加しており、医療関連カンジダ症については今後もさらなる注意が必要である。

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