市中獲得クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile):疫学、リボタイプ、リスク因子、病院および集中治療室における転帰、現行および新規の治療法

2018.08.23

Community-acquired Clostridium difficile: epidemiology, ribotype, risk factors, hospital and intensive care unit outcomes, and current and emerging therapies


E. Ofori*, D. Ramai, M. Dhawan, F. Mustafa, J. Gasperino, M. Reddy
*Clinical Affiliate of the Mount Sinai Hospital, USA
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 436-442
背景
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)の疫学的状況には過去 30 年間で変化がみられる。
目的
市中における CDI に関する研究をレビューすること。
方法
PubMed、MEDLINE、Embase、Google Scholar、Scopus、ClinicalTrials.gov および Cochrane のデータベースを含む電子データベースにおいて、2000 年から 2017 年にヒトを対象として実施され、疫学、リスク因子、リボタイプ、病院および集中治療室における転帰、ならびに市中獲得型 CDI の管理について評価した研究を検索した。さらに、他の関連研究を特定するために参考文献を手作業で検索した。
結果
合計で 39 報の論文が組み入れ基準を満たした。過去 10 年間で市中獲得型 CDI の発生率はほぼ倍増していた。CDI の全症例のうち約半数は、市中獲得と考えられた。若年、女性、乳児の存在、プロトンポンプ阻害薬または特定クラスの抗菌薬の頻回使用、または農場や家畜の近くでの居住は、市中獲得型 CDI のリスクを高めた。さらに、すべての市中獲得型症例の約 40%が入院を必要とし、その場合に重症度は高病原性のリボタイプ 027 および 078 に関連し、転帰は不良であった。治療パラダイムに関する新しいデータにより、臨床ガイドラインの改訂と第3相臨床試験において 2 つのワクチン候補がもたらされた。しかし、現在の治療戦略に対するリボタイプ特異的な提案はなされていない。
結論
市中獲得型 CDI は、増大しつつある公衆衛生上の脅威および医療システムへの負担となっている。この傾向を止めるためには、集学的多職種が関与するアプローチが必要となるであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
過去 10 年間で市中獲得型の CDI が倍増しているというショッキングな報告である。ただし重症例の原因となった CDI のリボタイプは 027 や 078 といった日本では分離頻度の少ないリボタイプである。余談であるが監訳者も最近 30 歳代の男性の市中獲得型CDIを経験した。日本でも市中獲得型 CDI については注意深く観察が必要であろう。

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