末梢静脈カテーテル:品質改善とより安全な患者ケアへの道筋★
Peripheral intravenous catheters: the road to quality improvement and safer patient care
S. Boyd*, I. Aggarwal, P. Davey, M. Logan, D. Nathwani
*University of Dundee/NHS Ayrshire & Arran, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 37-41
中心静脈カテーテルのための「ケアバンドル」を用いた集中治療部門でのカテーテル関連血流感染減少の大成功が世界的な注目を集めている。英国・ダンディーの Ninewells 病院の感染症部門の多職種チームは、スコットランド保健保護局(Health Protection Scotland)が作成した草案(詳細はオンラインで閲覧可能)に基いて末梢静脈カテーテル(PVC)のための「バンドル」を開発した。高学年の医学部学生が週ごとのデータを収集して、月に 1 回「計画・実行・評価・改善(PDSA)」サイクルを実施、リアルタイムで結果を病棟に掲示した。データの内容は、PVC の挿入(挿入日の記録、適応、部位)と維持(連日の必要性の評価、挿入部位の臨床所見、挿入期間が 72 時間未満であるか、適時の抜去)に関する客観的な臨床評価指標であった。ケアバンドルの遵守を患者ごとに評価して、遵守率を週ごとにプロットした。当初の遵守率は 54% であったが、週あたり 1.11% ずつ改善して、82% にまで到達した(95% 信頼区間 0.6% ~ 1.6%、P = 0.0001)。この改善は、PVC の必要性に関する連日の評価、週ごとの監査とフィードバック、遵守に関する問題点を議論する患者安全の月例会議、PVC のための新しいドレッシング材の導入、および新たな PVC ケア計画の推進などの複数の介入によるものであった。結論として、著者らは、単一診療部門の PVC 管理をケアバンドルアプローチによって著しく改善したことを示した。遵守率を改善するためには、病院が全体で PVC ケアバンドルの実施を進める必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
末梢静脈カテーテル(PVC)の合併症として、挿入部位の静脈炎や蜂窩織炎から重症菌血症まで幅広い臨床像があるが、その頻度についてはデータが乏しい。一方、英国の統計では黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)菌血症の約 10% が PVC に関連しているとされており、また入院患者の 3 人に 1 人は PVC を留置されている。このような背景から継続的質改善プロジェクトとして PVC ケアの改善に焦点をあてた研究である。
英国は 2008 年までに MRSA 血流感染症を 50% に削減させるプロジェクトを国家的に掲げ、実際に 2003 ~ 2004 年に比較して 2008 年には MRSA 菌血症の 57% 削減を達成した。「数値化できなければ管理することはできない(Edward Demming)」
なお、PVC の留置期間については 96 時間や 1 週間までとするデータもあり、さらなる検討が必要な領域であると考えている。
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