エア・プラズマ処理によるモデル表面および医療器材からの分子レベルの蛋白質汚染除去

2010.11.30

Molecular-level removal of proteinaceous contamination from model surfaces and biomedical device materials by air plasma treatment


K.K. Banerjee*, S. Kumar, K.E. Bremmell, H.J. Griesser
*University of South Australia, Australia
Journal of Hospital Infection (2010) 76, 234-242
医療器材の洗浄・滅菌法が確立し、肉眼レベルのバイオバーデンについては除去が可能となったと考えられるが、分子レベルの汚染(主に蛋白質)は課題として残されている。残留物にプリオンが含まれる可能性がある場合は、とりわけ懸念事項となる。エア・プラズマ(イオン化した空気)を用いた処理による、モデル表面および医療器材の表面からの実験的蛋白質汚染および臨床的蛋白質汚染の分子レベルの除去について調査した。表面分析が可能なX線光電子分光法(XPS)を用い、窒素元素(N1)の光電子シグナルを指標として蛋白質汚染の除去を評価した。モデル表面(シリコンウェハー)に吸着させた実験的蛋白質汚染(ウシ血清アルブミン)、および外科用ステンレス鋼製器材をヒト全血に浸漬しインキュベートして得た蛋白質の残存汚染(臨床的生体材料)からは、十分な洗浄後も強いN1シグナルが認められた(それぞれ16.8原子パーセントおよび18.5原子パーセント)。エアプラズマによる5分間の処理後は、XPSによりサンプル表面から窒素は検出されなかったが、このことは蛋白質汚染が完全に除去され、XPSの推定検出限界である10 ng/cm2を下回ったことを示している。従来の臨床的な洗浄法では歯科用バーに7.7原子パーセントの窒素が残存していたが、同一のプラズマ処理によって、新しい未処理の歯科用バーのレベルにまで低下した。接触角度の測定および原子間力顕微鏡法による測定からも、エアプラズマによる処理直後に蛋白質汚染が分子レベルで完全に除去されたことが示された。本研究によりエアプラズマは、モデル表面と医療器材の表面のいずれについても蛋白質汚染除去に有効であることが実証されるとともに、外科用および歯科用器材の再使用にあたってプリオンなどの分子レベルの残存汚染がない処理方法であることが示された。
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監訳者コメント
革新的な技術による蛋白質汚染除去に関する報告であるが、実験的研究に基づく報告であるため、今後は臨床の現場におけるシミュレーションの成果が期待される。

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