スウェーデンの集中治療室における動脈カテーテル感染症の低い発生率:保菌・感染のリスク因子★

2010.10.30

Low incidence of arterial catheter infections in a Swedish intensive care unit: risk factors for colonisation and infection


F. Hammarskjold*, S. Berg, H. Hanberger, B.-E. Malmvall
*Ryhov County Hospital, Sweden
Journal of Hospital Infection (2010) 76, 130-134
動脈カテーテルがカテーテル関連感染症を引き起こす懸念が高まっている。動脈カテーテル関連感染症(AC-CRI)のリスク因子に関する入手可能なデータは限られており、北欧ではその発生率と起因菌についての研究は実施されていない。本研究の目的は、スウェーデンの集中治療室(ICU)における動脈カテーテルへの菌定着およびAC-CRIの発生率とその原因菌を明らかにすること、およびそれらに影響するリスク因子を特定することである。郡立病院の総合ICUで動脈カテーテル留置を受けた全患者(691件、539例)を前向きに調査した。動脈カテーテル全件のうち600件(87%)ですべての評価を実施した。患者482例のカテーテル留置期間の合計は2,567日であった。カテーテル先端部の培養陽性率は1,000カテーテル日あたり7.8件であり、優勢な原因菌はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌であった。AC-CRI発生率は1,000カテーテル日あたり2.0件であり(菌血症症例なし)、全例がコアグラーゼ陰性ブドウ球菌によるものであった。多変量解析により、AC-CRIの有意なリスク因子は免疫抑制、中心静脈カテーテル(CVC)への菌定着、およびCVC感染症であることが明らかになった。結論として、当ICUでは動脈カテーテルへの菌定着および全身症状を伴うAC-CRIの発生率は低く、このことはAC-CRI予防のためのルーチンの基本的感染制御行動が実践されていることを示している。同時に留置しているCVCへの菌定着およびCVC感染症を有することがリスク因子であると考えられる。以前は、複数の血管内留置カテーテルへの菌定着および感染症が同時に発生することの意義についてはほとんど注目されていなかった。今回の知見の重要性を検証するために、さらなる研究が必要がある。
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監訳者コメント
動脈ライン関連感染の詳細はあまり報告がなく、本研究はそれを詳細に分析しており興味深い。ただし、結果の解釈には留意する必要がある。例えばCRIはカテーテル関連感染であり、基本的にカテーテル先端培養と全身状態で陽性となり、血液培養所見は必須ではない。本研究で発生したとされる5件のAC-CRIはいずれも血液培養陰性であり、本当にカテーテル関連感染であったのか、若干の疑問が残る。

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