集中治療室の隔離室内の空気中のバイオバーデンに関する連続的モニタリングおよび高リスク活動の特定

2019.10.15

Continuous monitoring of aerial bioburden within intensive care isolation rooms and identification of high-risk activities


L.R. Dougall*, M.G. Booth, E. Khoo, H. Hood, S.J. MacGregor, J.G. Anderson, I.V. Timoshkin, M. Maclean
*University of Strathclyde, Glasgow, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 185-192
背景
空気経路を介する病原体の伝播はしばしば過小評価され、病院施設において空気中の微生物汚染レベルが昼夜を通して変動する範囲については、ほとんど分かっていない。
目的
環境空気中のバイオバーデンの変動性および病棟での活動が影響しうる範囲の理解を深めるため、集中治療室(ICU)の隔離室内の空気の汚染レベルを 10 時間から 24 時間にわたって評価すること。
方法
入院患者が入室中および空室の隔離室内で、環境空気のモニタリングを実施した。シーブ型インパクターサンプラーを用いて、10 時間(8 時 ~ 18 時)および 24 時間(8 時 ~ 8 時)にわたり、15 分ごとに 500 リットルの空気サンプルを採取した。サンプルを採取し、部屋での活動を記録し、空気 1 m3あたりのコロニー形成単位(cfu)として細菌汚染レベルを記録した。
結果
試験した隔離室でのすべての状況にわたって、空気の汚染レベルにおける高度の変動性が認められた。空気中のバイオバーデンは部屋の占有率が上昇するにつれて増加し、試験中に最も長い間(10 日間)入室されていた部屋において、空気の汚染レベルは最も高かった(平均 104.4 cfu/ m3、範囲 12 ~ 510 cfu/ m3)。空室における数値(平均 20 cfu/ m3)および夜間の数値は最も低かった。
結論
空気汚染のピークは活動レベルの上昇に直接関連していた。本研究により、ICU の隔離室における 24 時間にわたる空気中の微生物レベルの変動性の範囲に関し明白なエビデンスが初めて示され、微生物の負荷と病棟での活動の間の直接的な相関が認められた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
空中浮遊菌に関する研究は多数存在するが、経時的なモニタリングを行った研究は少ない。本研究によって、出入りするスタッフが増加することによって空中浮遊菌が増加することが示された。ICU や手術室では出入りするスタッフを最小限にするべき、という推奨を支持する研究結果である。

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