入院患者の末梢静脈カテーテル関連軟部組織感染症:症例対照研究★

2010.10.30

Soft tissue infections related to peripheral intravenous catheters in hospitalized patients: a case-control study


W.-L. Lee*, S.-F. Liao, W.-C. Lee, C.-H. Huang, C.-T. Fang
*Hsinchu Cathay General Hospital, Taiwan
Journal of Hospital Infection (2010) 76, 124-129
末梢静脈カテーテル関連の軟部組織感染症は、局所的な皮膚・軟部組織の炎症に始まり、蜂窩織炎や侵襲的な外科治療を要する組織壊死にまで進行し得る。著者らは入院患者を対象として、マッチさせた症例対照研究を実施し、末梢静脈カテーテル関連の軟部組織感染症のリスク因子について調べた。2006年から2008年に教育病院2施設で発生した46症例を後向きに特定した。各症例を、軟部組織感染症が発生した日に同一の病棟にいた4例の対照と無作為にマッチさせた。リスク因子を条件付きロジスティック回帰により解析した。重回帰分析により、独立リスク因子を特定した。独立リスク因子は、連続24時間を超える持続静注による輸液(オッズ比[OR]5.2、P = 0.001)、挿入部位が下肢であること(OR 8.5、P = 0.003)、輸液ポンプの使用(OR 4.6、P = 0.023)、および神経系・神経外科系疾患による入院(OR 3.6、P = 0.018)であった。集団寄与割合(研究集団からリスク因子への曝露を取り除くことによって発生を予防することができる症例の割合)は、それぞれ40%、19%、24%、および25%であった。不必要な長時間の静注輸液を最低限に抑えること、および下肢への挿入を回避することにより、本研究を実施した病院の末梢静脈カテーテル関連軟部組織感染症発生率は有意に低下すると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
末梢ラインは血流感染のみならず局所の感染も引き起こし、時に重篤になる。本研究は軟部組織感染症に焦点をあて、そのリスク因子を同定した。下肢への挿入など末梢ライン関連感染の既知のリスクもあがってきている。神経系疾患の患者はライン関連の疼痛を訴えることができないケースも多く、感染症に至る一因であろう。なお、リスク因子の1つに挙げられている24時間以上の持続静脈注射は、末梢ラインの使用において多くのケースにあてはまり、これを避けるためには頻繁に入れ替えをしなければならず、その際の医療従事者の血液曝露のリスクや、患者の痛みなどの苦痛といったデメリットも発生する。挿入期間については総合的に判断されなければならない。

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