KPC-2 β-ラクタマーゼ産生コリスチン耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)による病院内アウトブレイク★★

2010.09.30

Hospital outbreak caused by Klebsiella pneumoniae producing KPC-2 β-lactamase resistant to colistin


K. Kontopoulou*, E. Protonotariou, K. Vasilakos, M. Kriti, A. Koteli, E. Antoniadou, D. Sofianou
*G. Gennimatas General Hospital, Greece
Journal of Hospital Infection (2010) 76, 70-73
2つの医療施設におけるKPC-2 β-ラクタマーゼ産生コリスチン耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)による病院内アウトブレイクを報告する。病院感染症患者から、カルバペネム耐性を示すK. pneumoniaeの臨床分離株の7株を採取した。すべての分離株の表現型が、カルバペネマーゼ活性陽性かつメタロβ-ラクタマーゼ産生陰性であった。blaKPCblaSHVblaTEMおよびblaCTX-Mに対する特異的プライマーを用いたPCR解析により、A病院由来のK. pneumoniaeのすべての臨床分離株とB病院由来の分離株1株には遺伝的な関連が認められ、blaKPC-2およびblaSHV-12を有することが示された。一方、その他の分離株はblaSHV-5およびblaKPC-2を有しており、プロファイルが異なっていた。これらの結果は、KPC産生菌のクローンが病院間で伝播して、さらにK. pneumoniaeの別の菌株がKPC遺伝子を獲得したことを示している。すべての分離株はカルバペネム系、β-ラクタム系、シプロフロキサシン、アミノグリコシド系、およびコリスチン耐性であって、チゲサイクリンに対する中等度の感性とゲンタマイシン感性が認められた。感染症により患者5例が死亡した。blaKPC-2を有するコリスチン耐性K. pneumoniaeの出現は、病院におけるこれら微生物の拡散防止を目的とした厳格な制御対策の実施の重要性を強調するものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)の中でも、特にKPCはカルバペネムを含むほぼすべてのβ-ラクタムに耐性を示すことから極めて重大な脅威であると考えられているが、この論文ではKPC産生かつコリスチンにまで耐性という菌株によるアウトブレイクが報告されている。報告されたK. pneumoniaeは、ゲンタマイシン感受性とチゲサイクリン中等度感受性を残していたというが、現実的に現存の抗菌薬で治療することはほぼ不可能であろう。
私たちの隣国である韓国からはコリスチン耐性多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)の報告もあり、現在の世界は抗菌療法が無効な強度耐性菌株が散見される状況に陥っていると考えなければならない。

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