クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)リボタイプ078による感染:アイルランド共和国における初の症例報告

2010.08.31

Infection due to C. difficile ribotype 078: first report of cases in the Republic of Ireland


K. Burns*, M. Morris-Downes, W.N. Fawley, E. Smyth, M.H. Wilcox, F. Fitzpatrick
*Beaumont Hospital, Ireland
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 287-291
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は重要な医療関連病原体である。リボタイプ027などの強毒性株が近年、広く報告されるようになっている。そのほかの強毒性株にはリボタイプ078があり、これによるC. difficile感染症の割合が増加していると考えられている。本報告では、アイルランドの病院で検出された、この病院の管轄区域内のナーシングホーム1施設に発生した15例のリボタイプ078によるC. difficile感染症アウトブレイクについて述べる。リボタイピングを実施した全C. difficile分離株のうち、リボタイプ078は15%を占めていた。リボタイプ078によるC. difficile感染症患者の平均年齢は76歳であった。診断から8週以内に患者の46%に症状の再発が認められ、8件の死亡例中5例でC. difficile感染が直接関与していたと考えられた。DNAフィンガープリント変法を用いて15例のクラスターが同定でき、さらに一部のC. difficile感染症患者間にこれまで認識されていなかった関連性が存在することが示唆された。本アプローチにより、C. difficileの共通の感染源と伝播経路が解明されることが期待できる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
強毒型C. difficile感染症の襲来に備えて、これから報告されていくであろう症例報告をつぶさに見ていくことが、対策のアイディアを創出することにつながるので、興味のある方は読んでおくとよいでしょう。

同カテゴリの記事

2021.03.31

Nosocomial influenza in south-western Swiss hospitals during two seasonal epidemics: an observational study

 

L. Qalla-Widmer*, D. Héquet, N. Troillet, C. Petignat, C. Balmelli, C. Bassi, C. Bellini, J.-P. Chave, A. Cometta, L. Christin, O. Clerc, O. Daher, U. Fuehrer, O. Marchetti, L. Merz, V. Portillo, G. Pralong, L. Sandoz, L. Senn, F. Tâche, A. Iten

*Public Health Service, Switzerland

 

Journal of Hospital Infection (2021) 109, 115-122

 

2012.04.29

A prospective study of nosocomial-infection-related mortality assessed through mortality reviews in 14 hospitals in Northern France

2010.09.30

Point-of-use filtration method for the prevention of fungal contamination of hospital water

2009.05.31

Nosocomial infection surveillance and control: current situation in Spanish hospitals

2017.06.29

Comparing non-safety with safety device sharps injury incidence data from two different occupational surveillance systems

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ