サーベイランスとバンコマイシン耐性腸球菌の流行:ある程度の制御は可能である
Surveillance and endemic vancomycin-resistant enterococci: some success in control is possible
M. Morris-Downes*, E.G. Smyth, J. Moore, T. Thomas, F. Fitzpatrick, J. Walsh, V. Caffrey, A. Morris, S. Foley, H. Humphreys
*Beaumont Hospital, Ireland
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 228-233
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は、アイルランドの多くの病院で流行している。VREが流行している施設の2001年から2008年のサーベイランスデータを解析した。臨床的に重要なすべての腸球菌のバンコマイシン感受性を調べた。集中治療室への全入室例を対象として、入室時およびその後は週1回スクリーニングを行った。VRE患者の隔離・コホーティング、月1回のVRE保菌率調査、電子警告システムの導入、手指・環境衛生の改善プログラム、および抗菌薬担当薬剤師との面談などの介入を実施した。VREスクリーニングサンプル陽性数は、2001年(10,000病床日あたりのVREスクリーニング陽性1.96例)から2006年(10,000病床日あたり4.98例)にかけて有意に増加し(P ≦ 0.001)、2007年(10,000病床日あたり3.18例)には減少した(P ≦ 0.01)。VRE血流感染症(BSI)は、2001年の10,000病床日あたり0.09例から2005年の10,000病床日あたり0.78例に増加したが(P ≦ 0.001)、その後は減少した。線形回帰分析から、新規VRE症例数と非隔離VRE患者数との間に有意な関連が認められ、特に2005年5月から2006年12月との間(P = 0.009、95%信頼区間[CI]0.08~0.46)、および2005年5月から2008年12月との間(P = 0.008、95%CI 0.06~0.46)で顕著であった。ルーチンのVREサーベイランスと他の方法と組み合わせることにより、VREが流行している地域や制約のある施設であっても、VRE BSI・保菌を制御することが可能である。
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監訳者コメント:
選択圧と保菌圧の両方の改善が感染対策には必要であろう。地域的に蔓延した状態での制御はほとんど困難であり、それ以前の改善が重要である。
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