医療従事者の手指がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)陽性となるのはいつか?★★
When are the hands of healthcare workers positive for meticillin-resistant Staphylococcus aureus?
E. Creamer*, S. Dorrian, A. Dolan, O. Sherlock, D. Fitzgerald-Hughes, T. Thomas, J. Walsh, A. Shore , D. Sullivan, P. Kinnevey, A.S. Rossney, R. Cunney, D. Coleman, H. Humphreys
*Royal College of Surgeons in Ireland, Ireland
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 107-111
手指衛生は、感染の減少を図る上で重要な要素である。医療従事者の手指のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)保菌率に関する報告はほとんどない。本研究の目的は、病院臨床環境で医療従事者の指先がMRSAで汚染されているかどうかを明らかにすることである。本研究は、MRSAの疫学に関する大規模な調査研究の対象である3次急性期高次病院の4つのMRSA病棟、およびこの調査研究の対象ではない同病院の他の4病棟で実施した。全職域の医療従事者523名の指先をMRSA色素寒天培地に圧着させ、822件のサンプルを採取した。手指消毒薬を使用した場合は、その種類および医療従事者の直前の行動を記録した。全体で、523名の医療従事者から得た指先のサンプル822件中38件(5%)がMRSA陽性であり、内訳は診療後194件中12件(6%)、患者環境との接触後138件中10件(7%)、および特定の接触がない場合346件中15件(4%)であった。MRSAが検出されたのは、擦式アルコール製剤使用後61件中2件(3%)、4%クロルヘキシジン洗浄剤使用後35件中2件(6%)、石けんと水による手指消毒後210件中7件(3%)、および手指消毒を行わなかった場合は493件中27件(5%)であった。MRSAは8病棟中7病棟の医療従事者から検出された。指先のMRSA検出率は、4つのMRSA調査研究非対象病棟のほうが4つの調査研究対象病棟よりも高かった(それぞれ250件中18件[7%]、201件中3件[1%]、P ≦ 0.004)。手指消毒後も含めても、医療従事者の指先からMRSAが分離されたことから、手指消毒の質の向上を図りMRSA伝播を予防するためには、教育プログラムの強化が必要であることが示唆される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
非常に興味深いデータである。まず、医療従事者の手指がこれだけMRSAに汚染されているというデータがあれば、医療従事者はそれを知らされただけでも手指衛生の遵守率が向上するであろう。医療従事者に対して手指衛生の必要性・重要性を説く上でこのうえなく説得力のあるデータである。さらに、手指衛生後の手指もMRSAに汚染されている場合が少なからずみられたが、これは、手指衛生の正しい方法に関する教育とその徹底に関する意識づけが必須であることを示している。調査のためのマンパワーと調査費用さえあれば、すべての医療施設でこのようなデータを収集することが望ましい。
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