動脈カテーテル関連感染発生率は大腿アクセスのほうが足背アクセスよりも高い★

2010.04.11

Higher arterial catheter-related infection rates in femoral than in dorsalis pedis access


L. Lorente*, A. Jimenez, J.J. Jimenez, J.L. Iribarren, J. Martinez, C. Naranjo, R. Santacreu, M.M. Martin, M.L. Mora
*Hospital Universitario de Canarias, Spain
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 365-369
動脈カテーテル関連感染については多くの研究があるが、カテーテルアクセス部位別の相対リスクに関する情報はほとんどない。著者らは以前の研究で、大腿動脈アクセスのほうが橈骨動脈よりも動脈カテーテル関連感染発生率が高いことを示した。今回の前向き観察研究は、集中治療室の患者を対象として、動脈カテーテル関連感染発生率を大腿アクセスと足背アクセスで比較するようにデザインした。延べ6,497日留置した1,085本の大腿動脈カテーテルを、延べ1,050日留置した174本の足背動脈カテーテルと比較した。大腿動脈アクセス群では33件の動脈カテーテル関連感染が認められた(菌血症11件およびアクセス部位感染22件、1,000カテーテル・日あたり5.08件)が、足背動脈アクセス群では全く認められなかった。年齢、性別、APACHE(Acute Physiological Assessment and Chronic Health Evaluation)IIスコア、診断群、動脈カテーテル留置歴、人工呼吸器の使用、抗菌薬の使用、およびカテーテル留置期間については、両群に有意な差はなかった。回帰分析から、動脈カテーテル関連感染発生率は大腿動脈アクセスのほうが足背動脈アクセスよりも高いことが示された(オッズ比7.6、95%信頼区間1.37縲怐〟AP = 0.01)。これらの結果から、動脈カテーテル関連感染症のリスクを低下させるためには大腿動脈アクセスよりも足背動脈アクセスを使用すべきであることが示唆される。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント
1本あたりの留置期間が大腿動脈・足背動脈とも平均6日とかなり長いことが、両群に感染率の差を出したものと考えられ、短期間の留置であれば挿入しやすい大腿動脈アクセスの使用を否定するものではないと考える。ともあれ、動脈だけでなく静脈も含めて、大腿部ではラインを挿入することは感染対策上不利であることを、すべての職員が明確に認識すべきである。

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