積極的監視によるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)の伝播と医療資源の利用に及ぼす影響★

2010.03.31

Impact of active surveillance on meticillin-resistant Staphylococcus aureus transmission and hospital resource utilization


C. Martinez-Capolino*, K. Reyes, L. Johnson, J. Sullivan, L. Samuel, B. DiGiovine, M. Eichenhorn, H.M. Horst, P. Varelas, M.A. Mickey, R. Washburn, M. Zervos
*Henry Ford Hospital, USA
Journal of Hospital Infection (2010) 74, 232-237
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)を対象とした積極的監視培養の感染予防策としての意義について意見が分かれている。今回の前向きコホート研究では、MRSAの積極的監視培養が、3次ケア病院(病院1)および市中病院(病院2)の院内感染に及ぼす影響を分析した。両院ともにMRSA保菌率が高く、ミシガン州南東部の大規模医療システムに加入している。集中治療室(ICU)およびその他の病棟における院内感染を、ICUにおける積極的監視培養の実施前後で比較した。病院1では積極的監視培養によりMRSA保菌が認められた患者には、ICU入室において接触感染予防策を講じた。病院2の患者は入院期間を通して接触隔離策を継続した。ICU入室時のMRSA保菌率は、病院1で23%、病院2は13%であった。研究期間における平均新規保菌率は、病院1で1,000患者・日あたり1.85、病院2は3.47であった。人工呼吸器関連肺炎は両院で減少したが、病院全体でMRSA院内感染の減少が認められたのは病院2のみであった。結論として、MRSA院内感染が流行している地域における人工呼吸器関連肺炎およびMRSA院内感染の発生率低下に効果的な方策は、標準的な感染予防イニシアチブに加えて、接触感染予防策を前提とした積極的監視培養を実施することであると考えられる。
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監訳者コメント
この報告では、接触感染予防策を前提とした接触的監視培養がMRSA対策に有効であったが、その意義については様々な議論がある。基本的な手指衛生の実践こそが重要であるとの意見もあり、いずれにせよ、それぞれの環境における継続的なサーベイランス活動によって病院の対策を評価する地道な活動が必要であると認識するべきである。

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