英国のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のメディア報道の発信を推進するもの、相互関係および相対的影響はどのようなものか?★

2009.12.31

What are the drivers of the UK media coverage of meticillin-resistant Staphylococcus aureus the inter-relationships and relative influences?


T. Boyce*, E. Murray, A. Holmes
*The King’s Fund, UK
Journal of Hospital Infection (2009) 73, 400-407
英国では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)感染がメディアの大きな注目を集めている。報道の質、政治的対応、および解決策の提言に対しては疑問が呈されており、医療従事者、メディア、および政府の政策の相互の関係をより深く理解する必要がある。著者らは、1994年から2005年に英国の新聞12紙に掲載されたMRSAに関する記事2,880件を特定し、米国の主要6紙の記事21件と比較した。相対的影響と相互関係をさらに調査するため、1990年から2004年にかけての68週分の報道を分析した。対象とした期日は、MRSAに関する論文のうち ISI Web of Scienceによる調査で引用回数が上位の10報が発表された日付、および1997年以降に英国保健省がMRSAに関するプレスリリースを発表した日付に基づいて選択した。この期間中に351件の記事が新たに報道され、このうち一般市民および政治家を情報源とする記事は60%であった。学術論文は引用回数上位のものであっても、新聞報道への影響はごくわずかであった。新聞記事に記載されている単純な解決策は、ほぼ例外なく清掃に焦点を当てたものであった。英国の報道機関は米国に比べ、MRSAに強い関心を寄せている。医療従事者、専門家、および専門機関はメディア報道の質を批判しているが、報道機関への影響力や関与はわずかである。このため、報道記者、著名人、一般市民、および政治家がチェックを受けずにこのような記事を執筆し、そこに述べられた短絡的な解決策のみを政策が取り上げるようになっている可能性がある。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
MRSAに関する英国のメディアを分析した興味深い論文。メディア論に興味のある方はご一読をお勧めする。

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