超清浄空気中の細菌数を指標とした閉鎖性手術用ガウンRotecnoと新しいGoreガウンの前向き無作為化比較★

2009.09.30

A randomised prospective comparison of Rotecno versus new Gore occlusive surgical gowns using bacterial air counts in ultraclean air


A. Gulihar*, N.A. Taub, G.J.S. Taylor
*Glenfield Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2009) 73, 54-57
手術室の超清浄空気の定義は、10コロニー形成単位(cfu)/m3未満とされている。現行の手術用ガウンに関する欧州規格はEN13795に記載されているが、これには細菌拡散抑制を評価する標準検査法については述べられていない。2003年の治験では、人工膝関節置換術における空中細菌数は、Rotecnoガウンを用いた場合は1 cfu/m3、全身排気スーツでは0.5 cfu/m3であった。この研究は、Rotecnoガウンを用いた場合の空中細菌数を、防水性繊維Goreで作られた新しいタイプの閉鎖性ガウンと比較した。このガウンは、EN13795の標準試験室検査法ではRotecnoガウンより優れていた。関節置換術56件を人工膝関節置換術、人工股関節置換術、人工股関節再置換術に層別化し、RotecnoガウンまたはGoreガウンのいずれかに無作為に割り付けた。手術開始から10分間、Casellaスリット・サンプラーを用いて創部30 cm以内の空中細菌を収集した。Goreガウンの空中細菌数(3.7 cfu/m3)はRotecnoガウン(1.2 cfu/m3)よりも多かった(P < 0.001)。Goreガウン群3件のサンプルでは、細菌数が超清浄空気の基準である10 cfu/m3を超えていた。人工膝関節置換術では、何年間も使用しているRotecnoガウンを用いた場合の細菌数(2.0 cfu/m3)は、2003年の治験(0.8 cfu/m3)よりも多かった(P < 0.001)。Goreガウンは標準試験室検査法の成績は優れていたが、空中細菌の拡散抑制の点では劣っていた。Rotecnoガウンは何年も使用したものであったが、依然として効果を維持していた。本研究から、超清浄空気の臨床環境において新規素材を検査することの重要性が示され、in vitro検査だけでは十分な評価ができないと考えられた。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
Gore-Texは防水耐久性、透湿性、防風性に優れることから、アウターウェアなどに幅広く利用されている素材である。この研究は、外科手術における再利用ガウンの使用に関する評価であり、数年間使用した後には空中浮遊細菌数が増加していたが、Goreを用いた新規ガウンよりも拡散を抑制していた。なお、この論文では外科手術部位感染症(SSI)の有無については言及されていない。

同カテゴリの記事

2023.06.02
Pragmatic review of interventions to prevent catheter-associated urinary tract infections (CAUTIs) in adult inpatients

J. Gray*, A. Rachakonda, J. Karnon
*Flinders University, Australia

Journal of Hospital Infection (2023) 136, 55-74


2011.06.30

World Health Organization-recommended hand-rub formulations do not meet European efficacy requirements for surgical hand disinfection in five minutes

2008.11.30

Acceptability of a wearable hand hygiene device with monitoring capabilities

2020.06.30

Direct medical burden of antimicrobial-resistant healthcare-associated infections: empirical evidence from China
X. Liu*, D. Cui, H. Li, Q. Wang, Z. Mao, L. Fang, N. Ren, J. Sun
*Wuhan University, China
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 295-305