嚢胞性線維症患者の家庭用ネブライザーの細菌汚染に対する次亜塩素酸系消毒薬の効果
Impact of hypochlorite-based disinfection on bacterial contamination of cystic fibrosis patients’ home-nebulisers
G. Reychler*, A. Leonard, C. Van Ossel, V. Godding, J. Gigi, A. Simon, P. Lebecque
*Cliniques universitaires Saint-Luc, Belgium
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 351-357
ネブライザーは、嚢胞性線維症患者の細菌汚染の発生源となり得る。本研究の目的は、患者による家庭用ネブライザーのメンテナンス法を調査すること、および既存のin vitro試験に基づいて作成された標準ガイドラインの有効性を評価することである。合計42例の嚢胞性線維症患者を対象とした。連続2回の往診時に、患者の日常実践に関するアンケートに看護師が回答し、同時に喀痰および器具から検体を採取し、細菌学的分析に供した。最初の往診をベースラインとし、2回目の往診は、0.5%次亜塩素酸溶液を用いたネブライザーの洗浄・消毒法の詳細な指示の後に行った。最初の往診では、患者の日常実践に大きなばらつきがあることが確認された。ネブライザーの78.5%が共生細菌に、57.1%が環境細菌に、および14.3%が嚢胞性線維症に固有の病原体に汚染されていた。次亜塩素酸による消毒後には、全体の汚染率および程度が有意に低下したが、嚢胞性線維症に固有の病原体は減少していなかった。嚢胞性線維症患者に固有の病原体は、患者の喀痰のものと器具から分離されたものとで一致していなかった。結論として、今回の患者集団では、ベースラインの日常実践にばらつきがみられた。嚢胞性線維症に固有の病原体に関しては、次亜塩素酸溶液の他の消毒法に対する優越性はみられなかった。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ディスカッションの項で著者も記しているが、ネブライザーが嚢胞性線維症患者の細菌汚染の発生源となるかどうかがわかっていない。本研究においてもその関連性を示すことはなかった。だからといって、ネブライザーが細菌によって高度に汚染されていてよいというものでもなかろう。いずれにせよ、ネブライザーをさほど念入りに洗浄消毒する必要はなさそうである。
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