携帯通信機器が院内感染病原体のリザーバとなる可能性に関する総説★★

2009.04.30

Review of mobile communication devices as potential reservoirs of nosocomial pathogens


R.R.W. Brady*, J. Verran, N.N. Damani, A.P. Gibb
*University of Edinburgh, UK
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 295-300
移動通信技術の革新は、医療を提供するための新しいアプローチと、日常的な医療情報を伝達するスピードと質の改善をもたらした。携帯通信機器の細菌汚染は効果的な感染対策の実施にかかわる重要な問題であり、交差汚染の減少を図るための取り組みに影響すると考えられる。この総説では携帯通信機器の細菌汚染について報告した最近の研究を調べたところ、その大半は携帯通信機器の9%から25%が病原性細菌で汚染されていることを示していた。携帯通信機器の表面の除染に関する研究に加えて、既存の研究から携帯通信機器汚染のリスク因子について調べた。汚染リスク減少のための推奨事項は、職員教育、厳格な手指衛生、機器洗浄のガイドライン、および手術室、集中治療室、熱傷集中治療室などの特定の高リスク区域における携帯電話の使用制限の検討などである。携帯通信機器の汚染に対するこれらの介入の効果を評価して、機器の汚染とそれに続く患者の感染との関係の有無を解明するためには、さらなる研究が必要である。
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監訳者コメント:
携帯機器の発達は医療の現場でもさまざまなメリットをもたらしているが、使用する器材が多くなれば環境からの病原体伝播のリスクも新たに生じる。テクノロジーの発達に頼らず、それを使いこなすコンセプトを磨く必要がある。

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