英国の集中治療室におけるMRSAの局地的疫学研究を目的としたspaタイピングの有用性

2009.01.31

Utility of spa typing for investigating the local epidemiology of MRSA on a UK intensive care ward


S. Khandavilli*, P. Wilson, B. Cookson, J. Cepeda, G. Bellingan, J. Brown
*Royal Free and University College Medical School, UK
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 29-35
英国の集中治療室(ICU)では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の地域的流行が頻繁にみられるが、ICU内のMRSAの局地的疫学に対する理解は十分でなく、MRSA感染を予防する最善の方法については異論がある。新規の分子タイピング法が、局地的なMRSA菌株の疫学研究に有用である可能性がある。英国のICU患者から採取したMRSA菌株に対して、ブドウ球菌プロテインA(spa)タイピングを実施した。spaタイピングはmulticolus sequence typing(MLST)より識別能が高いが、菌株の73%はspaタイプt032またはt018(英国のMRSA流行菌株であるEMRSA-15およびEMRSA-16に関連する)であった。患者の72%はMRSA感染に先立って保菌状態にあり、このうち88%は保菌株と起因菌株のMLST型およびspa型が同一であった。spaタイピングは、まれなspa型を有する19菌株については患者間のMRSA伝播の解明に役立ったが、EMRSA-15型およびEMRSA-16型のt032とt018の頻度が高かったため、多くの菌株ではspaタイピングは使用できなかった。意外なことに、まれなspa型の分離後28日以内に生じた45株の新規MRSA分離株のうち、交差汚染による可能性があるものは4株(9%)のみであった。これらの結果から、当ICUでは、少なくともまれなspa型の菌株の場合は、患者間のMRSA即時伝播はまれであることが示唆される。
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監訳者コメント:
遺伝子多型性検査にはPFGE法以外にも多くの方法が試みられている。効率よく分類するには、これらを組み合わせて解釈するしかないと考えられる。

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