重症患者に使用される動脈カテーテルの陽圧バルブコネクターの安全性

2008.12.30

Safety of positive-pressure valve connectors in arterial catheters inserted into critically ill patients


J.C. Yebenes*, G. Sauca, M. Solsona, R. Martinez, M. Serra-Prat, P. Gil, F. Riera, X. Balanzo
*Hospital de Mataro, Spain
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 341-345
医療従事者の針刺し損傷を防ぐためにニードルレス・バルブコネクターが導入されたが、その微生物学的な安全性についてはいくらかの懸念がある。重症患者に使用される橈骨動脈カテーテルの陽圧バルブコネクター用のハブ(hub)の保菌状態を評価し、従来のキャップと比較するために、無作為化対照試験を実施した。患者を陽圧バルブコネクター(Smartsite Plus陽圧ボーラスバルブ)群または従来のキャップ群に無作為に割り付けた。24時間以上挿入されたカテーテルのみを分析対象とした。連続100例の動脈ラインのうち、24時間以上留置されたのは80例であり(平均留置期間5.8日間)、内訳は陽圧バルブコネクター群41例、従来のキャップ群39例であった。カテーテルハブに保菌がみられたのは対照群8例(20.5%)、陽圧バルブコネクター群1例(2.4%)であった。ハブの保菌はすべての症例においてコアグラーゼ陰性ブドウ球菌によるものであった。この菌による菌血症は認められなかった。多変量解析では、ハブ保菌率が低いことと独立して関連する因子は、陽圧バルブコネクターの使用(オッズ比[OR]0.09、95%信頼区間[CI]0.1~0.79、P=0.03)および当該ラインを持続的血行動態モニタリングに使用すること(OR 0.16、95%CI 0.03~0.89、P=0.037)であった。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
ニードルレス・バルブコネクタの微生物学的安全性については懸念があり、いくつかの先行研究がある。本研究は動脈ラインに対して行われた点が独自的であるが、これを中心(静脈)ラインに適用してよいか、若干の疑問が残る。動脈ラインでは通常ライン関連血流感染が問題となることがほとんどないため、本研究の結果の評価は困難と言える。

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