院内感染クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連下痢症にかかわる費用
Costs of nosocomial Clostridium difficile-associated diarrhoea
R.-P. Vonberg*, C. Reichardt, M. Behnke, F. Schwab, S. Zindler, P. Gastmeier
*Medical School Hannover, Germany
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 15-20
院内感染クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連下痢症(CDAD)は、病院内で一般的にみられる感染症である。CDADによる病院全体の超過費用を評価するため、マッチド症例対照研究(matched case-control study)を実施した。2006年に大学附属三次病院で、病院全体の前向きサーベイランスにより症例の評価を行った。同年に同一の診断関連群を用いて、入院期間がCDAD症例の感染前のリスク期間と同一またはそれ以上、およびCharlson併存疾患指数※±1という条件に基づいて、院内感染CDAD症例(入院後72時間を超えるもの)とCDADではない対照患者を1:3の割合でマッチさせた。症例1例あたりの総費用に関するデータを会計部門から得た。院内感染CDADの45症例に対してマッチングが可能であった。入院期間の差から、CDAD症例はマッチさせた対照より入院期間が有意に長いことが示された(中央値7日、P=0.006)。CDAD患者1例あたりの平均費用は33,840ユーロであった。1例あたりの費用の差から、CDAD患者の費用はマッチさせた対照より有意に高額であることが示された(中央値7,147ユーロ、95%信頼区間4,067~9,276ユーロ)。院内感染CDADは高額の医療費と関連している。臨床医はCDADの経済的影響を認識すべきであり、伝播を減少させるためには適切な感染制御策の適用が推奨される。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療関連感染と医療経済を結びつけることにより、感染予防の重要性を強調することができる。医療関連感染は患者にとっての不利益に加え、病院にとっても大きなリスクであり、最小限に低減させるためのインセンティブの1つとして医療経済学的なアプローチも重要である。
監訳者注:
※Charlson併存疾患指数(Charlson comorbidity index):併存症や合併症を評価するためのスコア(Charlson ME, et al. J Chronic Dis 1986;39:439-452)。
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