完全静脈栄養または化学療法のための抗菌薬処理済み中心静脈カテーテル:システマティックレビュー★

2008.06.30

Anti-infective-treated central venous catheters for total parenteral nutrition or chemotherapy: a systematic review


B.S. Niel-Weise*, T. Stijnen, P.J. van den Broek
*Dutch Working Party on Infection Prevention, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2008) 69, 114-123
本システマティックレビューでは、完全静脈栄養または化学療法のために中心静脈カテーテル(CVC)を留置した患者のカテーテル関連血流感染(CRBSI)に対する抗菌薬処理済みCVCの効果について評価した。MedlineおよびCochrane Libraryで2007年10月14日までの無作為化対照試験を検索した。2名の判定者が独立して研究の質および抽出データを評価した。必要に応じてCRBSIのデータをランダム効果モデルにより統合し、適用となる場合にはサブグループメタアナリシスを実施した。対照群における抗菌薬処理済みCVCの効果に対するCRBSIリスクの影響を、二変量メタアナリシスモデルに基づくメタ回帰を用いて検討した。9件の試験を本レビューの対象とした。1件の試験からは、抗菌薬処理済みCVCにより、約9週間の期間中に化学療法を実施したCVC留置外来患者のCRBSIリスクが減少したことが示された。8件の試験では、平均約2週間にわたりCVCを留置した患者に対して、消毒薬処理済みCVCを使用することが望ましいとする全体的な有意な有益性は認められなかった。ほぼすべての試験に重大な方法論的欠点が認められたものの、抗菌薬処理済みCVCの効果とCRBSIの潜在的リスクとの間の関連を確認することはできなかった。したがって、化学療法または完全静脈栄養を受けている患者に対する抗菌薬処理済みCVCを用いたCRBSI予防については、これを推奨する十分な科学的エビデンスを入手することはできなかった。結論として、十分な衛生対策を実践しているもかかわらずCRBSIリスクが高い場合は、抗菌薬または消毒薬含浸CVCを使用すべきという米国疾病対策センター(CDC)の勧告は、集中治療室または周術期の患者に限定すべきである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
評価に耐えうる検索方法により文献を抽出し、メタアナリシスによって導き出された本論文の結論は、信頼性が高いと言える。CRBSIの予防には多面的な対策が必要であり、抗菌薬あるいは消毒薬浸漬カテーテルはその一部分に過ぎず、その効果を過大評価しないことが肝要かと考える。これはCRBSIに限らずすべての感染対策に言えることではなかろうか。

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