4%クロルヘキシジンによる全身洗浄が内科系集中治療室の患者における多剤耐性Acinetobacter baumanniiの皮膚保菌に及ぼす影響★★
Impact of 4% chlorhexidine whole-body washing on multidrug-resistant Acinetobacter baumannii skin colonisation among patients in a medical intensive care unit
A. Borer*, J. Gilad, N. Porat, R. Megrelesvilli, L. Saidel-Odes, N. Peled, S. Eskira, F. Schlaeffer, Y. Almog
*Soroka University Medical Center, Israel
Journal of Hospital Infection (2007) 67, 149-155
Acinetobacter baumannii血流感染が多発する医療施設で、内科系集中治療室(MICU)入室時のA. baumanni皮膚保菌率を調査した。また、患者のA. baumanni皮膚保菌に対する4%グルコン酸クロルヘキシジンによる全身洗浄の影響を判定した。2002年3月から2003年12月の間にMICUで前向きコホート試験を実施し、介入後に獲得したA. baumanni血流感染有病率と発生率を後向きに比較した。介入期間中、患者全員からA. baumanniの皮膚スクリーニングのためのスワブを入院時および退院まで定期的に採取した。初回培養実施直後に、患者に4%グルコン酸クロルヘキシジンによる全身の消毒を行った。消毒は、保菌状態にかかわりなく、退院まで原則として毎日実施した。病棟入院時の患者320例中55例(17%)がA. baumanniを保菌していた。MICUに滞在している患者のA. baumanni保菌率は、消毒実施24時間後は5.5%、48時間後は1%であった(P=0.002、オッズ比[OR]2.4)。2回目のスクリーニング後、保菌患者の80%で保菌が消失した。A. baumanni血流感染有病率は患者100例あたり4.6例から0.6例に減少し(P≦0.001、OR 7.6)、発生率は1,000患者・日あたり7.8例から1.25例に低下した(85%の低下)。著者らは、4%グルコン酸クロルヘキシジンによる全身消毒を毎日実施することにより、A. baumanni皮膚保菌が有意に減少すると結論する。多剤耐性A. baumanni血流感染が多発する医療施設では、周知の感染制御対策に加えて、この消毒法を考慮すべきことが示唆される。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
4%グルコン酸クロルヘキシジンによる全身洗浄は、手術部位感染防止ガイドラインにおいて、手術部位感染(SSI)防止の有効性が示唆されている(アウトカムを伴うエビデンスはないが)。それに準じて考えれば、本論文のようにICU患者に対して皮膚通過菌であるA. baumanniの除菌を行うという発想は妥当である。そして期待通りの結果を得ている点を評価すべきであろう。日本では4%グルコン酸クロルヘキシジンを有効成分とする患者皮膚用の洗浄剤がないこともあり、すぐに応用できるものではないが、ICU患者などの清拭の際の水に薬効成分を加えることを考慮してもよいのかもしれない。
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