大学附属病院における末梢静脈カテーテル関連血流感染症の臨床疫学と転帰★
Clinical epidemiology and outcomes of peripheral venous catheter-related bloodstream infections at a university-affiliated hospital
M. Pujol*, A. Hornero, M. Saballs, M.J. Argerich, R. Verdaguer, M. Cisnal, C. Pena, J. Ariza, F. Gudiol
*Hospital Universitari de Bellvitge, Spain
Journal of Hospital Infection (2007) 67, 22-29
末梢静脈カテーテルは臨床的に多用されているにもかかわらず、これらの器具に起因する血流感染症の発生率と臨床上の意義、および血流感染症の防止対策については、依然として議論が分かれている。集中治療室以外の患者群を対象として、ショートライン※およびミッドライン※※の末梢静脈カテーテルに由来する病院血流感染症の臨床疫学および転帰を明らかにするために、前向き研究を実施した。末梢静脈カテーテル由来血流感染症(PVC-BSI)症例を、中心静脈カテーテル由来血流感染症(CVC-BSI)症例と比較した。2001年10月から2003年3月の間に、患者147名に150件の血管内留置カテーテル由来血流感染症が認められた。77件(1,000患者・日あたり0.19件)がPVC-BSI、73件(1,000患者・日あたり0.18件)がCVC-BSIであった。CVC-BSI患者よりもPVC-BSI患者のほうが、救急部でのカテーテル挿入頻度が高く(0%対42%)、カテーテル挿入から菌血症発症までの期間が短く(平均15.4日対4.9日)、黄色ブドウ球菌が起因菌である率が高かった(33%対53%)。PVC-BSI患者では、カテーテルを救急部で挿入する場合のほうが病棟で挿入する場合よりも、カテーテル挿入から血流感染発症までの期間が短かった(平均3.7日対5.7日)。黄色ブドウ球菌によるPVC-BSI患者のほうが他の原因菌によるPVC-BSI患者よりも、遠隔感染巣を有する菌血症の発症率(7%対0%)および全死亡率(27%対11%)が高かった。血流感染症は依然として過小評価されており、末梢静脈カテーテル留置の重篤な合併症となる可能性がある。この合併症を最小限に抑えるためには、目的を定めた介入を実施すべきである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
末梢静脈カテーテルも血流感染症の侵入門戸となり得ることを明確に示した論文である。末梢であっても血管内留置カテーテルをゾンザイに扱うのは危険であることに注目する必要がある。また、この施設ではCVC-BSIの発生率が大変に低いこともさりげなくアピールされている。
監訳者注:
※ショートライン(short-line):一般的に使用される末梢静脈カテーテル。
※※ミッドライン(mid-line):末梢静脈に挿入するが少し長いカテーテル。
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