医療従事者の服装における細菌数および病原性菌種:擦式アルコール製剤使用、職種、および勤務時間の影響

2019.04.15

Bacterial load and pathogenic species on healthcare personnel attire: implications of alcohol hand-rub use, profession, and time of duty


A. Ambrosch*, K. Wahrburg, F. Klawonn
*Barmherzige Brüder Hospital, Germany
Journal of Hospital Infection (2019) 101, 414-421
背景
手指衛生によって、医療従事者の服装からの細菌伝播のリスクが回避され得る。よって、本研究では、擦式アルコール製剤の使用が、医療従事者の服装の細菌数や病原性菌種に及ぼす影響を検証する。
方法
医師および看護師の服装の細菌汚染について勤務後に調査した。医療従事者の服装の異なる部分からサンプルを採取し、細菌数および菌種を分析した。標準化された質問票により、勤務時間および職種に関して調査し、各病棟の擦式アルコール製剤の使用を国内基準に従い計測した。
結果
医療従事者の服装の細菌数(医療従事者の服装 200 着からサンプル 700 個)は、2 回以上のシフトで同じものを着用していた場合、4 倍に達することが確認された。さらに、医師は、看護師と比較して、服装の細菌数が少なかった。多変量線形回帰モデルにおいて、医療従事者の服装の細菌数は、擦式アルコール製剤(t = -2.080、P = 0.0379)、医師であること(t = -6.009、P < 0.0001)と負の相関を示し、勤務時間(t = 10.572、P < 0.0001)と正の相関を示した。医療従事者の服装においてもっとも優勢な病原体として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が検出され、これは勤務時間に影響された(オッズ比[OR]3.27、95%信頼区間[CI]1.93 ~ 5.72、P < 0.0001)が、擦式アルコール製剤により影響されなかった(OR 1.22、95%CI 0.30 ~ 3.42)。
結論
擦式アルコール製剤、職種、勤務時間は、医療従事者の服装の細菌数に有意に影響する。勤務時間が細菌数にもっとも強力に影響を及ぼすので、医療従事者の服装を毎日交換することが推奨される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
日本では、多くの病院で白衣の洗濯は職場が対応していると思われるが、自分で対応しているところもあるであろう。いずれにしても、交換頻度を上げていく必要性を説明する際に引用できる論文が出てくることは大変ありがたい。手指衛生アルコールの使用が白衣の汚染と負の相関を示すと言う結果は大変興味深い。

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