基質拡張型β-ラクタマーゼ産生菌のサーベイランスと接触隔離策のルーチンの実施:3年間の経験★

2007.05.30

Surveillance of extended-spectrum β-lactamase-producing bacteria and routine use of contact isolation: experience from a three-year period


A. Kola*, M. Holst, I.F. Chaberny, S. Ziesing, S. Suerbaum, P. Gastmeier
*Hannover Medical School, Germany
Journal of Hospital Infection (2007) 66, 46-51
腸内細菌科細菌の基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生株に対する隔離予防策の有用性と適用性は、流行下においては疑問視されていた。著者ら、ESBL陽性菌と、これらの菌の保菌患者あるいは感染患者のインフェクション・コントロールのマネジメントに関するサーベイランスプログラムを実施した。2002年1月1日から2004年12月31日の間に、患者123例から大腸菌、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、およびProteus mirabilisのESBL産生株が合計147件確認された。全体のESBL産生株陽性の発生率は、0.12/1,000患者・日であった。紹介患者の割合は35%(51例)であり、症例の65%(96例)は著者らの施設で感染したものであった。57例(38.8%)に感染症が発生し、このうちの36例(63.3%)が院内感染であった。症例の79.6%に対して接触隔離予防策が実施され、実施期間中央値は14日(範囲0~144日)であった。接触隔離予防策の隔離日数は合計2,985日となり、1年当たり995日であった。パルスフィールド・ゲル電気泳動法を用いたタイピングにより、患者由来分離株の94.2%にクローンの多様性がみられた。患者間の感染が7例確認された。ESBL産生株保菌が除菌されたのは10例(6.8%)のみであった。著者らの施設で治療を受ける多数の免疫不全患者(2002年から2004年に実施した骨髄移植または固形臓器移植患者1,500例以上)のことを考慮すると、ESBL産生菌保菌または感染患者の隔離を継続することになると考えられる。
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監訳者コメント:
基質拡張型β-ラクタマーゼ産生菌は、今後わが国でも増加する可能性がある。わが国でも西日本地域で高い分離比率を示しており注目されている。

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