人工呼吸器関連肺炎の不適切な治療:危険因子および転帰に及ぼす影響★

2007.04.30

Inadequate treatment of ventilator-associated pneumonia: risk factors and impact on outcomes


P.J.Z. Teixeira*, R. Seligman, F.T. Hertz, D.B. Cruz, J.M.G. Fachel
*Complexo Hospitalar Santa Casa, Brazil
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 361-367
初回抗菌薬治療は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)の臨床転帰の重要な決定因子である。いくつかの研究でこの問題は調査されているが、相反する結果が得られている。本研究では、VAPの臨床診断を受けた患者に対する不適切な経験的抗菌薬治療の危険因子、およびその転帰に及ぼす影響を調査した。主要評価項目は、抗菌薬治療の適切性とした。副次的評価項目は、人工呼吸器の使用期間、病院および集中治療室(ICU)への入院期間、およびVAPによる死亡率とした。平均年齢62.9±15.2歳、平均APACHE(Acute Physiological Assessment and Chronic Health Evaluation)IIスコア20.1±8.1、平均MODS(Multiple Organ Dysfunction Score)3.7±2.5であった。VAPの臨床診断を受けた151例中69例(45.7%)は、VAPに対する不適切な初回抗菌薬治療を受けていた。多剤耐性病原菌によるVAPは100件(66.2%)認められ、このうち56%の治療が不適切であった。一方、薬剤感受性病原菌によるVAPに対する抗菌薬治療が不適切な割合は25.5%であった(P<0.001)。多重ロジスティック回帰分析により、抗菌薬治療が不適切であるリスクは遅発性VAP患者で2倍以上高く[オッズ比(OR)2.93、95%信頼区間(CI)1.30~6.64、P=0.01]、多剤耐性病原菌によるVAP患者(OR 3.07、95%CI 1.29~7.30、P=0.01)または複数菌によるVAP患者(OR 3.67、95%CI 1.21~11.12、P=0.02)では3倍以上高いことが示された。不適切な抗菌薬治療は、VAP患者の高死亡率と関連していた。不適切な治療における3つの独立した危険因子のうちの2つは、菌の分離および同定に関連していた。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
感染制御というよりは、感染症の初期治療が予後にどのような影響を与えるか、という論文。適切な抗菌薬治療により、予後が改善したことを明確に示している点が評価できる。ただ、臨床検体分離菌が得られていない段階で適切な抗菌薬を使用するのはなかなか難しい。

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