英国のバーミンガムの病院を受診する小児におけるMRSA★
MRSA in children presenting to hospitals in Birmingham, UK
A. Adedeji*, T.M.A. Weller, J.W. Gray
*Birmingham Children’s Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 29-34
バーミンガムの病院を受診する小児のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)分離株の特性を、分子生物学的手法によって調べた。本研究は、一般的な小児診療を行う3つの病院で2004年3月から2004年12月に同定された、16歳以下の小児からの分離株を対象として実施した。50の分離株を米国疾病対策センター(CDC)の基準により、市中感染型MRSAまたは病院感染型MRSAに分類した。それらの分離株で、感受性試験およびパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)解析を実施した。PCR法により、ブドウ球菌カセット染色体(SCCmec)の種類およびPanton-Valentine型ロイコシジン(PVL)をコードしている遺伝子の有無を判定した。全体で、31株(62%)のMRSAを市中感染型MRSAと判定した。PFGEのバンドパターンおよびSCCmec解析結果は、72%の分離株がEMRSA 15に類似していた。80%を超える分離株がSCCmec IV型を含み、1つの分離株は分類不能であった。PVLをコードする遺伝子は検出されなかった。バーミンガムの病院を受診した小児から分離し、市中感染型MRSAに分類されたMRSAの多くは、通常の院内流行菌株に類似していた。PFGE、PVL産生、およびSCCmec解析に基づくde-novoの市中感染型MRSAの基準を満たした分離株は認められなかった。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
MRSAの型別法には数々の方法があるが、パントンバレンタイン型の白血球毒素を産生する黄色ブドウ球菌は病原性が強いことが知られており、米国では市中感染型のMRSAの多くがこのタイプに属しており社会問題となっている。わが国では幸い市中感染型MRSAからこのタイプの毒素産生遺伝子はほとんど検出されていないが、今後監視が必要である。
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