エルサルバドルの病院におけるフリップチャートによる紙芝居方式を用いた効果的な手指衛生教育★★
Effective hand hygiene education with the use of flipcharts in a hospital in El Salvador
M.A. Caniza*, G. Maron, E.J. Moore, Y. Quintana, T. Liu
*St Jude Children’s Research Hospital, Memphis, USA
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 58-64
発展途上国では医療従事者に対する生涯教育が人手不足や洗練された教育法の欠如により不十分となる場合があり、感染制御のために重要な行動である良好な手指衛生遵守に影響する。エルサルバドルの小児科病院の看護師67名に対する手指衛生教育において、発展途上国の医療や衛生管理の現場で広く用いられる2種類の教育ツール、すなわちビデオテープによる方法およびフリップチャートを用いた紙芝居方式の有効性を比較した。教育の前後に10題の多岐選択式問題からなる試験を実施して、そのスコアに基いて有効性を測定した。半数の看護師がビデオによる教育を受け、残りの半数が紙芝居方式による教育を受けた。いずれの教育ツールによっても、手指衛生遵守に関する被験者の知識が向上して、獲得した知識の水準は同等であった。教育6か月後のフリップチャート使用者からのフィードバックによれば、多くの回答者が患者の家族(62.5%)、患者(50%)、および医療従事者(43.8%)に対する手指衛生の教育にフリップチャートを使用したことが示された。フリップチャート使用者はフリップチャートを好ましい教育ツールとしていた。フリップチャートは、発展途上国での教育手段として経済的で、使いやすく、高い工業技術が不要でありながら、ビデオテープの有効な代替手段である。紙芝居方式には熟練した十分な訓練を受けた講師が必要であるが、フリップチャートは資源の乏しい状況における教育手段として、より広く利用することが可能である。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
フリップチャートによる紙芝居でも十分な教育効果を挙げることが可能であることが示されており、さらに紙芝居による情報提供を受けたスタッフが同じ方法で教育を拡大している点を参考にすべきであろう。なお、本文でも触れられているが、WHOでも患者安全(patient safety)のための中心課題として手指衛生(hand hygiene)を取り上げている。http://www.who.int/patientsafety/en/
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