B型肝炎ウイルス慢性キャリアの体液中の高濃度のウイルスDNA★★
High levels of hepatitis B virus DNA in body fluids from chronic carriers
K. Kidd-Ljunggren*, A. Holmberg, J. Blackberg, B. Lindqvist
*Lund University, Sweden
Journal of Hospital Infection (2006) 64, 352-357
B型肝炎ウイルス(HBV)の慢性感染は重大な世界的な健康問題である。小児期の水平伝播での感染経路は不明であるが、伝播は主として血液媒介性である。HBVによる院内アウトブレイクについては広く報告されているが、それらは主に血液媒介伝播に注目したものであり、その他の体液中のウイルス量についての知見は限られている。今回の研究では、HBV慢性キャリアの血清、唾液、鼻咽頭粘液、尿、および涙液中のHBV DNAを、定性的および定量的PCR法で調べた。両方のPCR法でHBV DNA陽性であった患者25例を研究対象とした。リアルタイムPCRで低濃度の場合は、定性分析で検出されるバンドは弱いものであった。HBV DNAは、4例の患者から採取した2個の尿検体、10個の唾液検体、5個の鼻咽頭ぬぐい検体および涙液で認められた。血清HBV DNA濃度が7×109ゲノムコピーの高ウイルス血症のHBe抗原陽性キャリア1例からは、唾液と鼻咽頭液の両方から高いコピー数が検出された。これらの結果は、高ウイルス血症のHBVキャリアは、他の体液中のHBV DNA濃度も高いという可能性を示している。このことは感染制御プログラムや法規において特に重要であり、定期的なHBV DNA検査により慢性キャリアの感染性を評価し、伝播の予防を目指すことの重要性を強調するものである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
血液以外の体液中にもHBVが存在し、潜在的なリスクとなることを示した論文である。この事実からも、標準予防策にある汗以外の湿性生体物質が潜在的な汚染源になりうるというメッセージの正しさを立証している。余談であるが、英国では慢性肝炎キャリアーの医師による侵襲的医療行為は、医原性感染予防の観点から厳しく禁止されているので、慢性キャリアーは医学部学生のうちに医師になることを断念させているそうである。
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