日本の教育病院における看護師の針刺・鋭利物損傷の疫学★★

2006.09.30

Epidemiology of needlestick and sharps injuries among nurses in a Japanese teaching hospital


D.R. Smith*, M. Mihashi, Y. Adachi, Y. Nakashima, T. Ishitake
*National Institute of Industrial Health, Japan
Journal of Hospital Infection (2006) 64, 44-49
針刺・鋭利物損傷(NSI)の疫学を、日本南部の大規模病院の看護師1,162名の完全なクロスセクションで調査した(回答率74.0%)。前年に46%がNSIを経験していた。多くの場合アンプルまたはバイアルが原因で、全看護師の32.3%がそれらによる損傷を受け、全NSI事象の42.9%を占めた。全NSI事象の22%にNSI発生前に患者に使用した器材(汚染器材)が関連していたが、2.8%の器材の使用状況は不明であった。ロジスティック回帰により、25歳未満の看護師は、過去12カ月にNSIを1回経験した割合が2.18倍[オッズ比(OR)2.18、95%信頼区間(CI)1.15~4.17]、NSIを複数回経験した割合が2.39倍(OR 2.39、95%CI 1.08~5.34)であることが示された。勤務の混合シフト(昼夜交代、日勤のみとの比較)では、全NSIリスクが1.67倍に増加し(OR 1.67、95%CI 1.01~2.85)、汚染器材によるNSIリスクが2.72倍になった(OR 2.72、95%CI 1.71~4.44)。勤務後の著しい疲労を報告した看護師は、NSIを複数回経験した割合が1.87倍(OR 1.87、95%CI 1.13~3.13)で、自分のNSIを報告しない割合が1.94倍(OR 1.94、95%CI 1.03~3.71)であった。高度な精神的プレッシャーの自覚があると、汚染器材によるNSIリスクが1.75倍増加した(OR 1.75、95%CI 1.07~2.88)。自分の病棟の職員のレベルが不十分であると報告した看護師は、前年に経験したNSIを報告しない割合が2.21倍であった(OR 2.21、95%CI 1.06~4.89)。全体として、本研究は、NSIが日本の看護師にとって複雑で多面的な問題であることを示唆している。日本の病院職員に対する介入戦略では、他国と同様に、NSIに関連する新しい因子として心理社会的因子を考慮する必要がある。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
日本からの針刺・鋭利物損傷のアンケート調査報告である。アンプルやバイアルが大きな因子となっているとの報告である。海外では、プレフィルシリンジの導入が進み、アンプルカットやバイアル製剤が激減している国もある。早急に改善すべき課題である。アンプルやバイアル製剤は、切りくず・コアリングなどの血管内への迷入も問題である。

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