二酸化塩素を用いた自動洗浄消毒機による内視鏡の消毒

2006.07.31

Endoscope disinfection using chlorine dioxide in an automated washer-disinfector


H. Isomoto*, M. Urata, K. Kawazoe, J. Matsuda, Y. Nishi, A. Wada, K. Ohnita, Y. Hirakata, N. Matsuo, K. Inoue, T. Hirayama, S. Kamihira, S. Kohno
*Nagasaki University School of Medicine, Japan
Journal of Hospital Infection (2006) 63, 298-305
通常、内視鏡洗浄の第一選択薬は2%グルタルアルデヒドであるが、従事者への有害反応が多く、特定のマイコバクテリアおよび芽胞菌に対する効果は小さい。二酸化塩素は代替薬となる可能性があり、現在、この薬剤に対応した自動洗浄消毒機が入手できる。今回の研究は、上部消化管検査後の内視鏡消毒における、二酸化塩素の有効性を評価することを目的とした。緑膿菌、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium avium-intracellulare)、および枯草菌(Bacillus subtilis)などの種々の微生物に対するin vitroでの二酸化塩素溶液の殺菌特性を、高濃度(600 ppm)および低濃度(30 ppm)で、ウシ血清アルブミン(BSA)を使用または未使用の状態で調査した。内視鏡検査直後、および30 ppmの二酸化塩素を入れた自動洗浄機の5分間使用後に、微生物、血液、H. pylori ureA遺伝子DNA、およびHCV RNAによる内視鏡の汚染を、それぞれ培養、高感度検査紙、PCR、およびRT-PCRで評価した。30 ppmの二酸化塩素は、ほとんどの微生物に対して2%グルタルアルデヒドと同等の殺菌活性を有し、M. avium-intracellulareおよびB. subtilisに対する抗菌効果はより早く現れたが、BSAのコンタミネーションは、二酸化塩素の殺菌活性に影響を与えた。微生物、血液、および細菌DNAによる内視鏡の汚染は、自動洗浄器/二酸化塩素システムの使用により除去された。したがって、二酸化塩素はグルタルアルデヒドの代替となる可能性がある。二酸化塩素に対応した自動洗浄機の使用と十分な事前洗浄を組み合わせることにより、効果的で、より早く、より問題の少ない内視鏡消毒が可能となる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
二酸化塩素は有効な消毒法の1つであるが、使用濃度による人体毒性や芽胞などの消毒薬抵抗性菌に対する詳細な検証が今後の課題である。

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