イタリアの大学病院におけるLegionella pneumophila の臨床的および環境中分布:紫外線殺菌の有効性 ★

2006.04.30

Clinical and environmental distribution of Legionella pneumophila in a university hospital in Italy: efficacy of ultraviolet disinfection


M. Triassi*, A. Di Popolo, G. Ribera D’Alcala, Z. Albanese, S. Cuccurullo, S. Montegrosso, M. Crispino, P. Borella, R. Zarrilli
*Universita di Napoli ‘Federico II’, Italy
Journal of Hospital Infection (2006) 62, 494-501
V. Monaldi University Hospitalにおいて、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)の分子疫学の研究を行った。院内感染によるレジオネラ病が1999~2003年に7例診断された。成人心臓外科病棟の患者2例から検出した2つのレジオネラ臨床株と、小児および成人心臓外科病棟、新生児集中治療室、および循環器呼吸器集中治療室から採取した30のレジオネラ環境株の血清型と遺伝子型の判別を行った。2001~2002年に、成人心臓外科病棟の患者2例、および成人心臓外科病棟3件と小児心臓外科病棟1件の水の試料から、パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)で同一のプロフィールAを有するL. pneumophila血清群1/Philadelphiaを分離した。さらに、全病棟で採取した20の環境株から、同一のPFGEプロフィールBを有するL. pneumophila血清群3が、循環器呼吸器集中治療室の1つの環境株から、プロフィールCを有するL. pneumophila血清群3が同定された。また、成人および小児の心臓外科病棟と新生児集中治療室の5つの環境株から、同一のPFGEプロフィールDを有するL. pneumophila以外のレジオネラ菌が同定された。院内感染によるレジオネラ病に関連するL. pneumophilaクローンにより汚染された、成人および小児の心臓外科病棟の病院給水設備の消毒には、紫外線照射が有効であった。結論として、今回のデータは、院内感染による2例のレジオネラ病が、病院環境中のL. pneumophila血清群1/Philadelphiaの単一のクローンが存続することによって発生したこと、および紫外線照射による殺菌は院内感染によるレジオネラ病予防の有効な方法となりうることを示している。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
水廻りに生息して排除することが難しいレジオネラ菌を、紫外線照射によりコントロールできた、という興味深い論文である。

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