エジプトにおけるグラム陰性臨床分離株のカルバペネム耐性およびカルバペネマーゼ遺伝子の疫学:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Epidemiology of carbapenem resistance and carbapenemase genes in Gram-negative clinical isolates from Egypt: a systematic review and meta-analysis W.M. Nageeb*, S.H. Abbadi, H.M. Ali, M.N. Abohalawa, A. Elfadadny *Suez Canal University, Egypt Journal of Hospital Infection (2026) 174, 54-76
背景
様々な環境におけるカルバペネム耐性(CR)およびカルバペネマーゼの型に関する疫学データの利用可能性は、治療選択、感染制御プロトコール、スチュワードシップイニシアチブの指針に重要な影響を及ぼす。本メタアナリシスの目的は、エジプトにおけるグラム陰性臨床分離株の CR およびカルバペネマーゼ陽性率を明らかにすることである。
方法
PRISMA 声明に従って、Scopus、Google Scholar および Web of Science を含む包括的な文献検索を実施した。I2 およびコクランの Q 検定を用いて研究間の不均一性を評価し、変量効果モデルに基づいて、結果を割合と 95%信頼区間(CI)で報告した。統計解析はすべて、Open Meta Analyst および関連する R パッケージを用いて実施した。
結果
グラム陰性菌のカルバペネム耐性の統合全陽性率は 48.4%(95%CI 42.4 ~ 54.4)であった。カルバペネム耐性アシネトバクター(Acinetobacter)は、統合カルバペネム耐性率が最も高かった(71.7%、95%CI 65.2 ~ 78.3)。すべての表現型法を用いて最も高いカルバペネマーゼ検出率が認められたのもアシネトバクターであった(67.4%、95%CI 60.5 ~ 74.2)。アシネトバクターは、EDTA併用ディスク法(CDST-EDTA)を用いたメタロβ-ラクタマーゼの統合陽性率も最も高かった(65.9%、95%CI 52.4 ~ 79.4)。
結論
アシネトバクターは CR 率が高く、カルバペネマーゼ産生率が高い。エジプトで最もよく検討されるグラム陰性菌種の中で、クレブシエラ(Klebsiella)はニューデリー・メタロβ-ラクタマーゼ(New Delhi metallo-β-lactamase;NDM)遺伝子の陽性率が最も高く、シュードモナス(Pseudomonas)はヴェローナインテグロンでコードされたメタロβ-ラクタマーゼ(Verona integron-encoded metallo-β-lactamase;VIM)遺伝子の陽性率が最も高かった。アシネトバクターは耐性に関して特に課題であると考えられる。この包括的疫学データからは、標的病原体に特異的かつ耐性特異的に調整を加えたスチュワードシップの指針およびサーベイランスの取り組みが求められている。
監訳者コメント:
エジプトのグラム陰性菌におけるカルバペネム耐性をまとめたメタ解析で、全体の耐性率は約半数に達し、特にAcinetobacterでは約 7 割と高率であった。さらに菌種ごとに主要なカルバペネマーゼが異なり、Klebsiella では NDM、PseudomonasではVIM、Acinetobacter では OXA-23 が重要であった。感染管理では「カルバペネム耐性菌」を一括して扱うだけでなく、地域・施設ごとの菌種と耐性機序を把握し、検査、サーベイランス、接触予防策、抗菌薬適正使用を組み立てることが重要である。一方、含まれた研究は病院ベースで検査法も一定せず、耐性菌だけを対象にカルバペネマーゼを調べた研究も多いため、真の保有率を正確に示すものではない。日本でも海外からの患者を受け入れる際には国ごとの耐性菌疫学を参考にしつつ、自施設の検出状況と分子疫学を重ねて判断することが実践的である。
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