感染予防・制御に関する国際ランダム化対照試験:過去 20 年間の文献レビュー
Global randomised controlled trials in infection prevention and control: a bibliographic review from the past two decades B.G. Mitchell*, G. Matterson , M.R. Carroll , H. Donnelly , K. Marimuthu , P.E. Tehan *Avondale University, Australia Journal of Hospital Infection (2026) 174, 459-465
背景
感染予防・制御(IPC)に関するエビデンスは、医療関連感染症を減少させるために必要不可欠であるが、厳密なランダム化対照試験(RCT)の実施は困難を伴うために、IPC ガイドラインは低レベルのエビデンスに頼っている場合が多い。長期的な研究の動向を理解することによって、強みやギャップ、優先事項が明確になる可能性がある。そこで、この文献レビューの目的は過去 20 年間の IPC RCT の動向とパターンを特定することとした。
方法
Scopus データベースにおいて、2002 年 1 月から 2025 年 9 月までの系統的検索を実施した。IPC に関する RCT を対象とした。特定された研究を Covidence ソフトウェアにエクスポートし、スクリーニングを行った。メタデータを Biblioshiny® ソフトウェアにインポートし、年間科学的生産量、引用データ、著者、共同研究について解析した。データの手動でのコード化も行い、組み入れた研究にテーマを割り付けた。この計量書誌学的レビューは、BIBLIO 報告チェックリストに従って報告した。
結果
検索により 2,312 件の研究が特定され、このうち 239 件を組み入れた。結果から、年間論文発表数の断続的な増加期が、特に過去 2 年間に認められる。研究活動は米国、オーストラリアおよび英国に集中している。公表文献全体の半数以上が、4 つの主要な IPC テーマ、すなわち医療器材、皮膚消毒、創傷治療および手指衛生の範囲に収まる一方、残りの研究は、テーマのかなりの不均一性を反映している。
結論
IPC に関する RCT は過去 10 年間に大幅に増加している。既存の国際共同研究が特定されたが、これらのネットワークをさらに強化するためのかなりの余地が残っている。これは、エビデンスベースを強化する機会となる。RCT は増加していることから、主要な IPC 分野における現行のガイドラインを支持する根拠がある。
監訳者コメント:
感染予防・管理(IPC)領域の RCT はこの 20 年で増加しているものの、239 件の半数以上が医療デバイス、皮膚消毒、創傷治療、手指衛生の 4 領域に集中しており、エビデンスの蓄積には大きな偏りがあることを示したレビューである。IPC は介入の標準化や盲検化が難しく、大規模 RCT を行いにくい分野だが、「根拠が乏しいから仕方がない」で済ませる時代ではなくなってきた。現場ではガイドラインの推奨事項を固定的なものとして扱うのではなく、新しい RCT が出れば手指衛生やデバイス管理などの標準手順を見直す姿勢が重要である。一方、本研究は Scopus のみを検索しており、すべての RCT を網羅しているわけではない。研究が増えている領域では、継続的に更新される「living guideline」という考え方も今後の IPC に合っている。
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