エンベロープウイルスおよびノンエンベロープウイルスに対する ViRaTonPBS システムの抗ウイルス能
Antiviral potential of ViRaTonPBS system against enveloped and non-enveloped viruses U.L. Urmi *, M. Yasir , M. Afzal , S. Praet , M. McDonald , M.D.P. Willcox *University of New South Wales, Australia Journal of Hospital Infection (2026) 174, 45-53
背景
表面を介する伝播は、ウイルス拡散の重要な経路である。従来の消毒法は有効となりうるが、繰り返し実施する必要がある。
目的
本研究では、高電荷状態の光電子を放出することにより、実臨床環境において持続的な非接触の消毒を提供するように設計された、ViRaTonPowered_By_Shycocan(ViRaTonPBS)システムの抗ウイルス効果を検討した。
方法
ViRaTonPBS を、ステンレス鋼、ガラスおよび積層表面上のエンベロープウイルス(インフルエンザウイルス A 型[H1N1]、単純ヘルペスウイルス 1 型[HSV-1])およびノンエンベロープウイルス(マウスノロウイルス 1 型[MNV-1]、ヒトアデノウイルス 5 型[HAdV-5])に対し、1 および 5 m の距離で、曝露時間を 5、15 および 30 分として試験した。ウイルスの感染価は、50%組織培養感染量(TCID₅₀)法およびプラークアッセイを用いて評価した。
結果
ViRaTonPBS は、H1N1、HSV-1 および MNV-1 の感染力を曝露時間、表面の種類および距離依存的に有意に低下させた。1 m の距離で 30 分間曝露したとき、ステンレス鋼でのウイルス減少率は H1N1 で 99.2%、HSV-1 で 96.7%、MNV-1 で 94.7%に達した。5 m の距離では、ウイルス減少は持続したが、減少率は中等度であった(例:ステンレス鋼上の H1N1 の減少率 91.9%)。一方、HAdV-5 に対しては、0.5 mで 45 分間を含むいずれの試験条件下でも、ViRaTonPBS は有意な抗ウイルス活性を示さなかったことから、その効果は、特定のノンエンベロープウイルスに対しては限定的である可能性が示唆された。
結論
全体として、このシステムは、医療、輸送、教育およびその他の屋内公共環境において連続使用できる強い可能性を示した。
監訳者コメント:
ViRaTonPBS という光電子を利用した非接触型の環境除染装置を検討し、インフルエンザウイルス、HSV-1、マウスノロウイルスでは表面上の感染性が低下した一方、アデノウイルスには有意な効果を認めなかった研究である。効果はウイルスの種類だけでなく、表面材質、装置からの距離、曝露時間にも左右されており、「設置すれば室内を常時消毒できる」と単純には解釈できない。特に実際の病棟では有機物、気流、湿度、複雑な表面形状などが加わるが、本研究では実環境での有効性や患者の感染発生率低下は評価されていない。また企業が研究デザインや実施に関与し、関係者が販売権を持つ会社の株主である点も考慮が必要である。新しい環境技術としては興味深いが、現時点では日常清掃や手指衛生を置き換えるものではなく、導入時には対象微生物と実環境での性能を確認する姿勢が重要である。
同カテゴリの記事
Reducing needlestick injuries through safety-engineered devices: results of a Japanese multi-centre study
Healthcare associated infection control in France: 2005-2008 national program
Multi-hospital point prevalence study of healthcare-associated infections in 28 adult intensive care units in Brazil
Evaluating a neonatal intensive care unit MRSA surveillance programme using agent-based network modelling
Efficacy of preventive interventions against ventilator-associated pneumonia in critically ill patients: an umbrella review of meta-analyses D. Zhu*, Q. Zhao, S. Guo, L. Bai, S. Yang, Y. Zhao, Y. Xu, X. Zhou *Jiangsu Province Hospital of Chinese Medicine, China Journal of Hospital Infection (2024) 145, 174-186
