イングランドの血液内科病棟を受診した患者における NDM-1 カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の持続的クラスター★
Persistent cluster of NDM-1 carbapenemase-producing Klebsiella pneumoniae among patients attending a haematology ward in England K. Wilson*, G. Moore, J.F. Turton, T. Brooks, O.M. Williams, C.R. Beck, M. Edmunds, D. Ready *UK Health Security Agency, UK Journal of Hospital Infection (2026) 173, 132-139
背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)は、医療環境において散発的なアウトブレイクを引き起こすことが知られており、環境およびヒトに定着していることから管理が難しい場合がある。
目的
本研究の目的は、単一病棟で NDM-1 産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を有する症例のクラスターにおける高頻度の曝露を、疫学、ゲノムおよび環境調査を利用して明らかにし、可能性のある感染源を明らかにし、対象を絞った制御策にとって有用な情報を提供することであった。
方法
症例は、同病棟で臨床検査により、variable number tandem repeat(VNTR)解析で同定され、全ゲノムシークエンシングでクラスターが明らかにされた NDM-1 配列型 15 を保有する肺炎桿菌が確認された患者とした。症例の曝露情報を、患者ノートおよび病院フロア計画のレビューにより収集した。環境サンプルを、病棟の表面から 2 回の機会で採取し、培養により CPE を分離した。
結果
症例 12 例(感染例 4 例、保菌例 8 例)が 3年半の期間に同定された。初発症例後に発生した最初の 9 例中 8 例は、少なくとも他の 1 例と同時期に同病棟に入院しており、6 例は陽性症例 1 例が在室していた後に同じ個室に在室していた。臨床分離株と同じ VNTR プロファイルが認められた NDM-1 産生肺炎桿菌が病棟環境で回収され、これには、初回環境サンプリング時に検査陽性であった手洗い用洗面所の排水口と交換するために設置されていた排水口が含まれた。
結論
本研究では、病院内で多年にわたる持続的な CPE クラスターが発生していること、また改善策の実施後も長期にわたり環境リザーバが持続していた可能性があることが示された。対象を絞った環境サンプリングで補足しつつ、疫学を理解することは、医療環境において可能性のある伝播源を明らかにする助けとなる可能性がある。
監訳者コメント :
英国の血液内科病棟で数年間持続した NDM-1カルバペネマーゼ産生Klebsiella pneumoniaeクラスターを解析した研究である。定期的な患者スクリーニング、接触者調査、全ゲノム解析(WGS)、環境培養を組み合わせた結果、多くの患者は感染ではなく保菌として発見され、菌株は同一クローンであることが確認された。また、シンクや排水設備などの環境が菌のリザーバーとなり、患者と環境の間で伝播が持続していた可能性が示された。接触予防策や隔離のみでは終息せず、環境対策や排水設備への介入、継続的なサーベイランスを組み合わせることが制御に重要であった。血液内科など高リスク病棟では、保菌患者対策と環境管理を一体化した感染対策の必要性を示す報告である。
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