定期的スクリーニングの院内カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌保菌に対する影響:生態学的研究
Impact of periodic screening on hospital-acquired carbapenemase-producing Enterobacterales colonization: an ecological study O. Jadesola-Smith*, N. Rocha-Pereira, C. Campos-Silva, A. Azevedo *Faculdade de Medicina da Universidade do Porto, Portugal Journal of Hospital Infection (2026) 172, 27-35
背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)の院内伝播を予防するために、系統的スクリーニングによる早期検出が推奨されている。
目的
診療科レベルで医療従事者の自動スクリーニング指示遵守率と院内 CPE 保菌/感染の発生率との関連を推定することにより、スクリーニングプログラムの効果を評価した。
方法
ポルトガル、ポルトの Unidade Local de Saúde de São João において、2023 年 1 月から 2024 年 6 月までのデータを用いて生態学的観察研究を実施した。病院では 2022年 9月に、高リスク患者を対象とする入院時および全入院患者を対象とする週 1 回の自動スクリーニング指示を導入した。直腸スワブを PCR によって検査し、bla_VIM、bla_OXA-48、bla_KPC、bla_NDM および bla_IMP 遺伝子を調べた。データソースはスクリーニング記録、疫学的サーベイランスからの CPE 症例(入院後 48 時間以上)、入院患者日に関する管理データなどであった。月ごとの各診療科のスクリーニング遵守率および発生率を算出した。Generalized Additive Models for Location, Scale, and Shape(GAMLSS)を用いて、スクリーニングの遵守率と院内 CPE 保菌の発生率との関連をモデル化した。
結果
33 の診療科において、月ごとの自動 CPE スクリーニング遵守率の中央値は90.0%(範囲 62.0 ~ 98.7%)であり、診療科間および診療科内で大きな変動が認められた。全体の遵守率が 1%上昇するごとに、院内 CPE の発生率は 2.9%低下した(exp β = 0.971、95%信頼区間 0.953 ~ 0.983)。診療科間でベースラインの発生率には顕著な差があったが、発生率に対する遵守率の影響は診療科間で一貫していた。
結論
ルーチンのスクリーニングプロトコールの遵守を強化することによって、医療環境におけるCPE の伝播が減少する。
監訳者コメント:
自動化された CPE スクリーニングへの順守率向上と、院内新規獲得率の低下に強い負の相関(順守率 1%上昇につき獲得率 2.9%減少)を認めた本研究は、定期的な CPE スクリーニングの臨床的意義を実証している。特に長期入院や高リスク病棟において、初期の陰性確認後も週単位で自動再検を課すシステムは、潜在的な保菌者を早期に補足し接触予防策へ繋げる上で極めて有効である。今後は、一律の運用に伴う現場の業務負荷とコストを精査し、地域の流行状況や病棟ごとのリスクに基づいた最適なスクリーニング頻度の個別化、および持続可能な自動化システムの構築を進めることが、効率的な耐性菌制御における課題となる。
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